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第8回 改訂された睡眠指針について パートⅡ

睡眠指導士8

平成26年3月厚生労働省は「健康づくりのための睡眠指針」を、11年ぶりに大幅改定致しました。

今回は、この改定された睡眠指針について、先回に引き続きなるべく簡潔明瞭に解説させていただき、睡眠指導士の観点から私の所感を述べていきたいと思います。

 

【第1条】良い睡眠で、 からだもこころも健康に。

解説⇨国が言う良い睡眠とは、適度な「量」と「質」を兼ね備えた睡眠を指しており、満足いかない「量」と「質」であると、うつ病や心の病、また事故を引き起こす直接的な原因になると、今回の改訂では国が具体的な病名や実証例を数値で示した事が驚きでした。

 

【第2条】適度な運動、 しっかり朝食、ねむりとめざめのメリハリを。

解説⇨この条項は面白いですね。寝酒は寝入りは良いが深い眠りとならないから悪い。寝る前のタバコはニコチンの覚醒作用で睡眠を浅くする。などと寝酒や寝る前のタバコを完全否定す る改訂となっております。睡眠薬代わりとする方が多い中での言い切り定義でしたね。
逆に適度な運動と朝食を進めており多くの実証例が根拠付けされております。

 

【第3条】良い睡眠は、 生活習慣病予防につながります。

解説⇨2条の悪い生活習慣を改善する事を促す数値が示してあります。具体的には体重1%の増加が1時間あたりの無呼吸回数を3%上昇し、10%の体重増加があると睡眠時無呼吸症候群を発症する危険性が6倍になるなど、肥満によって睡眠の質が悪くなり生活習慣病のリスクが上がると、過去10年の横断研究の統計をまとめております。

 

【第4条】睡眠による休養感は、 こころの健康に重要です。

解説⇨前回(平成15年度)指針にも、睡眠不足とうつ病の発症の関係性をクローズアップしておりましたが、本改訂では海外の長期追跡数値が付加されております。米国の大学卒業生1053人を平均34年間という長い期間、睡眠脳波、睡眠総時間、睡眠段階出現率などの客観的指標と睡眠休養感などの主観的指標で総合的に睡眠とこころの病気を強く関連付けている気の長い縦断研究で、良い睡眠を促しておりますね。

 

【第5条】年齢や季節に応じて、 ひるまの眠気で困らない程度の 睡眠を。

解説⇨前号で年齢と睡眠推奨時間を示しましたが、もう少し解説しますと、睡眠を長く取りすぎる事は結果として睡眠を浅くしてしまい生活習慣病のリスクも上げてしまう恐れがある事から、ただ長く寝るのではなく年齢によって適正時間を定めた経緯が補足とされております。

本号では1条から5条までを解説致しました。11年ぶりの改定に至る経緯には〝膨大なデータを総合的にまとめ、それをいかに国民に分かりやすく興味をひくような文章で示すか〟が大きな課題となっており、そこを押してまでも「健康づくりのための睡眠」に並々ならぬ思いがあったようです。
どんな医師も最後に必ず言うように「寝る事が一番」その言葉に集約されていますよね。

次号では、6条以降について今回同様に深ぼって解説をしてまいります。

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