睡眠指導士から”おやすみ”に代えて… 第14話
熟睡できるお風呂の入り方
今回は睡眠の深さに影響を与えるお風呂の入り方について少し深ぼってみましょう。
お風呂の入り方
①シャワーではなく「入浴」を
⇨シャワーでは一時的にお湯を当てているだけで、体の芯まで温まらない。
温まった体が徐々に冷めていき脳温度が低下すると眠気が増します。それにより深い眠りを誘発します。
日本特有のお風呂に浸かる文化は、睡眠にも良い効果があったのです。
②「40度」前後のお湯
⇨体を適度に温められ、同時にリラックス効果も期待できる温度です。
低温(36~38度)だと体温とあまり変わらず、体を冷やす効果(眠る準備)も軽減します。高温(42度以上)は逆に交感神経が興奮してしまい、脳が覚醒して冴えてしまい深い眠りも軽減してしまいます。
③「15分」を目安に
⇨10分以内で出てしまうと、体の表面しか温まらず深部体温は上がっていません。逆に1時間も入っているとお湯の温度も下がってしまい、そもそも「体温を上げる」という目的が達成されません。
のぼせないように半身浴で無理なく浸かるのも良いでしょう。
④寝る前の「2時間前」
⇨お風呂で温まった体を、元の体温に戻そうとする人間の恒常性により、湯冷めしすぎて風邪をひかない程度の時間を空けて寝床に入ると良いでしょう。風呂上りに直ぐ布団に入ると、そのまま保温されてしまい体温低下(脳温低下)されず、かえって眠れなくなってしまいます。
⑤「やわらかい色」の照明
⇨本誌で度々お話している睡眠と「光」は、睡眠の2時間前のお風呂の時間帯は重要です。強い光でなくても長時間光を浴びる事で、脳が覚醒してしまい、せっかく入浴で得られたリラックス効果が半減してしまいます。
蛍光灯や白色電球を温暖色のやわらかい電球に替えるのが良いのですが、簡単な事ではありませんので、お風呂の電気を消して脱衣所の電気を点けて間接照明にして使うという方法で対策しても良いでしょう。
光は睡眠の深さに最も影響を与えます。うっすらと明るい程度のリラックス照明はお勧めです。
余談ですが、よく海外に行かれる方は感じた事があるかもしれませんが「ちょっと暗いなぁ」と部屋の照明に違和感があると思います、海外では日本よりも健康を意識しているホテルが多く、照明は白熱灯などの間接照明が主流なんです。
⑥就寝までは「強い光」は浴びない。
⇨寝室に入る前のお部屋の照明にも配慮しましょう。最近の健康ブームからでしょうか炎色などの暖色電球が売れているそうです。古代の人間は電気がなく動物から身を守る為に、夕日が沈むと真っ暗の中、焚火を囲みながら就寝しておりました。
当然ながらテレビやスマホなどの目に刺激を与える光(青色光等)はありません。人間の長い歴史の中で刻まれたDNAは強い光が目に入ると「まだ活動しなくては」と寝る準備を阻害してしまうのです。
⑦適温で過ごす
⇨適度な体温低下(脳温低下)によって、良質な睡眠へ誘われ熟眠していくのです。
冷房などで急激に冷やした部屋や、過度に暖房で暖めすぎた部屋では、体温低下のスピードが睡眠に適しておらず、体感的に気持ちが良くても、決して熟眠をする適温ではないと理解しておいてください。
神経質になりすぎる必要はありませんが、何事も適度が大事です。
如何でしたでしょうか?毎日入るお風呂にも「熟眠」を促す効果が期待できる事を意識して習慣にしてみましょう。まずはお風呂場の電気を消して入浴(笑)家族にビックリされるかも知れませんね!
次号は寝室についてお話しします。