睡眠指導士から”おやすみ”に代えて… 第16話
学力低下の原因は、睡眠不足が原因
脳の仕組みを味方につけた効果的な勉強
小学5年生を対象に某教育委員会が行った「子供の睡眠時間と学力テスト」の関係について、興味深い結果が紹介されておりました。
この結果だけで判断するのは、乱暴なお話しですが、実は睡眠的な見地からすると「これは当たり前」の事実。
更に言うならば、このコラムを定期的に購読していただいている読者の皆様も当然と思われるような「記憶の固定=睡眠」が、この睡眠時間が学力と密接な関係がある事は想定できた結果であると思います。
せっかく沢山勉強しても、忘れてしまう前に理想的な時間帯に理想的な記憶の固定ができる睡眠の必要性。
大人と子供では睡眠の性質は違えど「凡そ8時間」を目安に21時~22時に就寝して、少し早起きして勉強をすると良いでしょうね。
記憶を固定させる睡眠
レム睡眠をしているとき、人間の体は休んでいますが、脳は起きている状態と変わらず考え続けています。この時に寝る前に勉強した内容や習い事(ピアノやスポーツ等)の体験した事を仕分けして「記憶の定着」をさせているのです。体が寝ていて脳が覚醒しているので夢を見たり、金縛りの現象になったりもします。約90分のノンレム睡眠(脳も体も休息)の後に10分程のレム睡眠が発生するサイクルを睡眠中に何度か繰り返すので、このサイクルが個人差はありますが7~8時間の睡眠が「記憶の固定」には理想的と言われております。
四当五落
「寝る間も惜しんで勉強して4時間の睡眠なら合格するが、5時間も眠っているようでは合格できない」なんて、昔の定説として精神論を4字熟語にしていた時代もありました。しかし睡眠の知見が確立されてきている昨今、平均4時間睡眠の日が4~5日間続くと、徹夜をしたのと同じくらいの、脳の疲れとなり認知能力が低下すると言われております。そんな状態で勉強や習い事を続けても、身につくはずはありません。
子供の就寝時間が遅くなっているのはなぜか
この様な問いかけをすると大人は、ほとんどの方が同様の回答をします。
「塾通いの増加」「テレビ」「ゲーム」「スマホ」、確かに間違いではありません。
しかし、ある調査会社が同様の質問を子供対象にしたところ、大人の目線とは違う回答結果に大人達は愕然としました。
①なんとなく ②家族が遅いから
この2つの回答が最も多く、「何となく夜遅くまで起きている」という状態の子供が増えているようです。
昔の家庭では親は絶対的な存在。叱られるから早く寝ていましたよね。「あらためて考えてみてください、おたくはどうでしょう???」
タイトルを思い切って「言い切り文章」にしてみましたが、昔からの精神論で貫くよりも、結果として効率的で効果的な規則正しい生活習慣がとても大事という事を知ってもらいたい思いがあります。子供の健康維持は言うまでもなく、能力形成からみても「記憶の固定をする睡眠」は重要な役目をしております。「何をどう学ぶか?」と同等に「いつどれだけの睡眠をするか?」も大切にしていただけたら幸いです。