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がん検診

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がん検診とは

多くの方は、職場や学校などで定期的に健康診断をお受けになると思います。これは日常生活を行っていて、身体の中の異常を早期に発見して健康を保つために行うものです。ただし、身体の隅から隅まで調べるのでは、費用が膨大なものとなり、しかも時間も必要で多くの方が行うことが出来ません。そのために限られた検査項目で、検査結果の効果が高く、費用も多く必要としない検査が選ばれています。
 がん検診についても同様のことが言えます。がんは身体のどの部位にでもできますが、部位ごとに罹患数は異なります。男性の場合は、胃がん、前立腺がん、肺がん、大腸がんの順番で多いです。女性は乳がん、大腸がん、胃がん、肺がん、子宮がん(子宮体がん+子宮頸がん)です。
 一般に行われるがん検診は、胃がん検診、肺がん検診、乳がん検診、大腸がん検診、子宮がん検診、前立腺がん検診などです。これらのがん検診は全年齢が対象ではなく、一定の年齢以上が対称になります。それは表1のようにがんに罹患する年齢が、ある年齢以上から高くなるからです。このため多くのがん検診の対象年齢は40歳以上となっていますが、子宮頸がんについては若い方も罹患するので自治体によっては20歳から対象としています。

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各がん検診について

 胃がん検診は、胃部エックス線検査で行われます。バリウムを飲む検査になります。これは胃の内部を影絵的に捉えて異常を見つける検査です。このため小さながんなどは、捉えることができない可能性があります。現在は内視鏡検査が発達していて、直接胃の内部を見て診断する方が、より精度の高い検査となります。しかし内視鏡検査を胃部エックス検査同様に、短時間で多くの人の検査を行うことは出来ません。また、施行する医師も確保することは出来ませんし、費用も多くかかります。よって国の指針では胃内視鏡検査を検診で使用することについて、科学的根拠がないとして、推奨していません。でも現実は胃部エックス線検査で異常があれば必ず、胃内視鏡検査を受けることになります。

 肺がん検診は、胸部エックス線撮影と喀痰細胞診で行われます。胸部エックス線撮影では心臓や肝臓などで隠れていない所は見ることが出来ますが、肺全体を見ることが出来ません。また喀痰検査でがん細胞が見つかるのは、がん細胞がかなり大きくなった進行がんの状態が多いです。最近では低線量X線CTによる肺がん検診も行われています。胸部エックス線撮影でも異常が見つかれば、胸部X線CT検査を行い精査します。ですから最初から胸部X線CTを行えばよいのですが、国の指針では〝死亡率減少効果の有無を判断する証拠が不十分〟として推奨されていません。これはCT検査のほうが費用がかかるためです。

 大腸がん検診は便潜血反応で行われます。これは大腸がんが出来るとがんの部分から出血することもあり、便に血が混じるからです。便潜血による大腸がんの発見は、早期がんで約50%、進行がんで80%程度と言われています。あまり高い発見率ではないのは、大腸がんが全て出血を伴わないことと、進行がんになって初めて出血するようになるからです。ただし便潜血が陽性であっても大腸がんである確立は低く、痔、大腸憩室、良性ポリープなどによっても便潜血が陽性となります。便潜血が陽性で大腸がんの方は2%前後です。このように便潜血による大腸がんの発見は難しいです。

 その他、乳がん検診、子宮がん検診、前立腺がん検診等がありますが、前記したがん検診と同様に100%早期がんを見つけるにはいずれの検診も無理があります。それは出来るだけ費用をかけずに多くの人を検診するための検査だからです。

PETを使用したがん検診

 PET検査は、ブドウ糖に18−Fと言う放射性同位元素をつけた薬剤(FDG)を身体の中に投与して検査を行います。人の細胞の多くは、ブドウ糖をエネルギー源として細胞内に取り込みます。これはがんについても同様です。ただしがんは嫌気性代謝を主にしていて、ブドウ糖を正常細胞以上に必要とします。このためにがんのところには周りの正常な細胞以上にFDGを取り込み、がんを見つけ出すことが出来ます。
 FDG−PET検査はブドウ糖を取り込む全てのがんを見つけることが出来ます。ただしがんの種類によってはFDG−PET検査で見つけにくいがんもあります。
 FDG−PET検査で見つけることの出来るがんとしては、頭頚部がん食道がん、肺がん、乳がん、膵がん、大腸がん、子宮がん、卵巣がん、前立腺がん、悪性リンパ腫、悪性黒色腫、転移性腫瘍などです。反対にFDG−PET検査で見つけにくいがんは、原発性脳腫瘍、早期胃がん、原発性肝がん、腎臓がん、膀胱がんなどです。このように特定のがんだけを見つけるのではなく、身体全体のがんを見つけることが出来ます。

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 ただしFDG−PETでは見つけにくいがんはMRI、CT、エコー、内視鏡など他の検査装置を組み合わせて、検査を行っているのが光生会病院のPET健診です。
 表2は当院のPET健診で見つけたがんの種類と件数です。最も多く見つかっているがんは、大腸がんです。PET健診を行なっている施設の中には、PET検査では大腸がんはわかりにくいと表明している施設もありますが、当院では2度の検査を行って早期の大腸がんを見つけています。この内7割は便潜血が陰性の方で、9割は腫瘍マーカーの値が正常でした。
 二番目に多いのが前立腺がんです。前立腺がんはFDG−PET検査では見つけにくいがんの一つとされていますが、当院では画像の造り方を変えているので、よく見つかるがんの一つになっています。前立腺がんの方のPSAは、10以下の方が多いです。三番目の甲状腺がんは、他のPET施設で最もよく見つけられているがんです。

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 表3は性別と年齢別のがんの発見率です。一般的に1年間に100人の日本人ががんになるのは4人だと言われています。先に記した一般的ながん検診でがんが見つかる確率は0.1%前後です。PET健診で見つかるがんの確立は全国平均で1.8%と発表されています。当院では3.8%です。表3を見てわかるように高齢になるほどがんの発見率は上がります。ただし女性には40代で一つのピークがあります。これは女性特有の乳がんや、子宮がんなどの罹患によります。この傾向は表1のがんの罹患数と相関します。

まとめ

 先に述べたように一般のがん健診は費用を抑えて出来るだけ多くの人に効率よく受診していただく方法です。PET健診は費用は考えず、出来るだけ精度よく検査するためのもので、一度に多くの人が受診することが出来ません。両者を比較することは、コンセプトが異なるので出来ません。しかし一般のがん健診を受診していて安心は出来ないと思います。また、PET健診も施設間の差があることは事実です。

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