シニアの知って「得」する国の制度 第19回
年金。手続きのタイミングによる損得はある?
特別支給の老齢厚生年金とは?
現在、「年金は、原則65歳から」ですが、厚生年金だけには例外があります。一生涯で厚生年金(共済組合含む)の加入期間が合計1年以上ある場合、65歳前でも生年月日に応じて「特別支給の老齢厚生年金」という一部の年金が請求できます。オール国民年金の人や厚生年金等が合計1年未満(11ヵ月まで)の場合には、この権利はありません。
請求できるのはいつ?
数年前までほとんどの人が60歳で年金手続きを行えるようになっていました。しかし、昭和28年4月2日以降の誕生日の男性の方は61歳以降に手続きを行うようになってきています。例えば、平成27年度中に61歳になる方々は平成27年度に手続きを行うことができますが、その1年下の方々が手続きを行うのは62歳になったときなので平成29年度になります。女性は厚生年金について当面同じ条件であれば60歳から特別支給の老齢厚生年金を請求できますが、共済組合に加入していた場合にはそちらについて男性と同じ条件となります。
早くもらうと損?
男性で、62歳からもらえる人が本当に62歳に手続きをしてしまうと、早くもらうことになるから減額されてそれが一生続いてしまうのでは?という疑問を持たれている人が多いのですが、安心してください!この62歳からもらう特別支給の老齢厚生年金は62歳から65歳までの3年間限定の額であり、早めてもらうということではありません。仮に65歳まで待ったとしても3年間もらうはずであった総額を1円も変わらずもらうだけです。よって、ここに損得はありません。女性は60歳からもらえますが、こちらについても同様です。
「早くもらうと減る」というのは、何?
国民年金から支給される老齢年金を「老齢基礎年金」といいます。この「老齢基礎年金は、誰もが65歳開始」と国が決めています。国は65歳から支払うつもりなのに、本人が例えば62歳など早めてほしいとなると、予定の金額をそのまま出す訳にはいきません。65歳まで待っている人が損しないようにするため、本来の金額から一定の割合で減額されます。支払う側の立場になって考えると単純に3年分多く払うのはちょっと厳しいですよね。支払う回数が多い分、支払額を割り引くようなものです。
年金をいつからもらうのが良いかと考えれば考えるほど混乱してしまうのは、厚生年金は62歳などで、国民年金(基礎年金)は65歳からという二段階になっているからです。62歳(女性は60歳)になる誕生日の3か月ほど前に緑色の大きめの封筒が送られてきたら、「損得のない特別支給の老齢厚生年金を請求してくださいね」という案内だと思ってください。
さて、次回も以前に書いた内容ではありますが、老齢基礎年金を早めてもらう「繰上げ」についてのお話です。年金を早くもらいたいけど…と考えられている人は必見です。
有限会社CSプランニング