シニアの知って「得」する国の制度 第18回
厚生年金(サラリーマン)と
共済年金(公務員)の一元化で何が変わった?
もらえるタイミング
平成27年10月、厚生年金と共済年金の一元化が実現しました。現場ではまだ多少の混乱があるようですが、すでにその制度が運営されています。
大まかには共済年金の制度が厚生年金の制度に合わせられるという改正ですが、逆に厚生年金の制度が共済年金の制度に合わせられている部分もあり、退職後に年金が支給されるタイミングが1か月早くなることもその一つです。
これまでは?
年金受給者が社会保険(厚生年金)に加入して働き、もらえる年金がカットされていた場合、その後退職すると年金の受給まで数か月あいてしまうことがあります。
具体例をあげて説明します。
・63歳
・社会保険に加入していた
・給料が高かったため年金は全額カット
・4月末日に退職
この場合、これまでは「6月の分から支給」「8月15日に6月と7月の分が入金」ということで、退職から年金が振り込まれるまで3か月半ほど後になっていました。しかし、一元化後は「5月の分から支給」「6月15日に5月の分が入金」ということになりました。
どうしてそんなにかかっていた?
「退職日の翌日」が「資格喪失日」となっており、これまでは「資格喪失日の月」が基準となっていました。つまり先の例でいえば「資格喪失日」は退職日である4月末日の翌日なので5月1日です。
さらに、退職後の年金は「資格喪失した日の属する月の翌月から」支給が開始されるという仕組みだったので、6月の分から支給が開始されていました。
そして、6月の分は7月の分と合わせて8月15日に振り込まれるという仕組みでした。
一元化後はどうなった?
「退職日の翌月」から年金が支給されることとなります。
先の例にあてはめると、退職日が4月末日で、その翌月は5月です。その5月の分から支給が開始されることとなります。この5月の分は6月15日に1か月分振り込まれます。もちろん、8月15日には6月の分と7月の分が振り込まれて、その後は2か月分ずつ振り込まれていくことになります。
結局、「1ケ月分得」する!
このことから、これまで偶数月に退職すると、年金が振り込まれるまで3か月半ほどかかっていましたが、今後はそれもなくなり、1か月分多く受給できるようになっています。改正の内容としては細かい部分ですが、実際の生活で1か月分でも年金が多く、しかも場合によっては振り込まれるタイミングも早くなったということに関してはとても重要なことですよね。
さて、次回は連載開始のころにも書いた内容ですが、初めて行う年金手続はいつがよいのかについてのお話です。年金相談の現場では今でもこのことで迷われている方が非常に多いので、再度取り上げたいと思います。
有限会社CSプランニング