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シニアの知って「得」する国の制度 第21回

年金に加算される「加給年金額」とは?

年金の世界での「扶養手当」

 ご友人などと年金の話をするときに「妻(夫)が65歳になると夫(妻)の年金が減る」という話が出ることがあると思います。これは、人によってそうなる場合とそうならない場合があります。では、どのようなときにそうなるのでしょうか?ここに男女の差はありませんが、一般的に妻が65歳になると夫の年金が減らされるので、そちらを前提とします。
 この夫の年金から減らされる分の年金とは「加給年金額」といわれるものです。通常は「加給年金」と略して言われることが多いです。この加給年金額はいわゆる「扶養手当」に位置付けされているもので、一定要件を満たすことで支給されます。その要件の一つとして「妻が65歳未満であること」というものがあるので、すなわち「妻が65歳になるまで」となるわけです。

どんな場合に加給年金額がもらえる?(支給要件)

 加給年金額は誰でももらえるものではありません。結論から申しますと農家など厚生年金の加入がご夫婦ともあまりない場合にはもらえません。具体的な要件は次の通りです。
①夫の厚生年金の加入期間が合計20年以上あること
②妻の厚生年金の加入期間が合計20年未満であること
③夫が65歳以上であること(生年月日や他の要件に応じて65歳未満の場合もあり)
④妻が65歳未満で障害年金を受けていないこと

 これにすべて該当したとき、夫に加給年金額が加算されます。しかし、加給年金額の要件はこれだけではなく、例外もありますが、「④妻が65歳未満で障害年金を受けていないこと」は例外なく絶対です。

【例外】夫婦とも厚生年金が20年以上の場合の加給年金額

 上記「②妻の厚生年金の加入期間が合計20年未満であること」について、いくつかの例外があります。
A.妻に老齢厚生年金または障害年金の受給権がない場合
 つまり、大まかにいうと妻が60歳未満であることということです。夫が65歳以上で妻が60歳未満なので、要するに5歳以上年の差がある場合です。
B.妻の年金が全額停止となっている(1円ももらえない)場合
 こちらは60歳以上の妻の給料が高くて年金が1円ももらえない状態のときや、退職したときにもらえる失業手当をもらうと年金が全額停止となるので、そのような場合です。
 加給年金額は年間390,100円(平成28年度価額)であり、生活費に大きく貢献するものです。「例外」は他にもいくつかありますが、この紙面では書ききれないほどの要件があります。例えば、働き方などを調整して加給年金額をもらう・・・というテクニック?もあるので、年金事務所や社会保険労務士など年金の専門家に相談されることをお勧めします。

 さて、次回は妻が65歳になることによって夫の加給年金額が打ち切られた後に、妻がもらえる「振替加算」についてのお話です。今回ご案内した加給年金額に該当するご夫婦の多くは振替加算に該当すると思われますので、次回もぜひご覧ください。

有限会社CSプランニング

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