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親の介護 アルツハイマーの母から学んだこと その十六

親の介護 アルツハイマーの母から学んだこと その十六

『鼻に管』から『胃ろう(PEG)』へ

『寝たきり』の状態からさらに『鼻に管』への措置も必要となり、認知症の症状も急速にすすんでいきました。話すことはおろか表情の変化さえもあまりなくなってきました。話しかけてもそれが理解できているのか、さらには聞こえているのか、暑いのか寒いのかどうかもわかりません。ただ音のする方向を向いたり、顔を近づけるとその方向を見るのでおそらく聴覚、視覚の機能は働いているようでした。また痛みを感じることもあるようで、鼻に管を通している経鼻経管栄養法はチューブの入れ替えに痛みを感じるなど負担も多いため『胃ろう(PEG)』をすることになりました。

やがてくる『その日』を意識

胃に直接チューブを通し栄養補給をする『胃ろう』をする際、当時の担当の医師から次のような説明がありました。胃ろうに移行した患者さんの平均的な余命は3年ほどであること、また胃ろうができなくなってからの『その後』を考えておくことなどを言われました。
考えの至らない私は、やがて必ずおとずれる『その日』のことなど想像をしたことはなく「3年」という具体的な数字を言われ初めて『その日』のことを意識することになりました。

迫られる『選択』

さらに胃ろうができなくなってからの措置をどうするかを考えることも私にとって初めてのことでした。やがて胃ろうも限界にきた時、その後の措置を望むのか否かの選択です。次の治療として点滴による栄養補給法があるそうですが、そこまでせず自然にまかせることもできるそうです。もちろんすぐに決めることではありませんが、すでに母と意思疎通ができなくなっており、やがてくる事態になったときには母自身でなく私が決断しなくてはいけません。母が元気なころに延命治療のことなど話したり聞いたりしたことなどまったくなく、まして認知症になってからはできる由もなく、母の意志の確認のしようもありません。私が母の『命の選択』をしなくてはならなくなりまた。

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