親の介護 胃にチューブを入れる『胃ろう(PEG)』 アルツハイマーの母から学んだこと その二十二
お腹に小さな穴をあける手術
アルツハイマーにより脳が萎縮し『嚥下』の機能も低下し、母は鼻から胃にチューブを入れ栄養をとる『経鼻経管栄養』をすることになりました。しかしこの方法は二週間に一度のチューブ交換が必要で、入れる際痛みを伴います。母はそれを嫌がったためすぐに次の措置としての『胃ろう』という方法に変わりました。
胃ろうは胃カメラを使いお腹に小さな穴を作る手術をし、その穴にチューブを入れて液状・半固形の食物を流して栄養補給をする方法です。ベッドの脇に点滴のビンより少し大きめのタンクが吊るされ、そこから毎日決められたカロリーの栄養が母のお腹の中に注がれるようになりました。胃ろうには逆流性誤嚥性肺炎や下痢を生じる可能性があるとの説明を受けました。
胃ろうにしても再び口から食べられることも
「経管栄養」(「経鼻経管栄養」「胃ろう・腸ろう」)は母のような認知症の人だけでなく、脳卒中、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)などで、口から食事をすることが難しくなったいわゆる『嚥下障害』がある人に施される医療的な措置です。誤嚥性肺炎がおこりにくい、消化管を使って栄養を摂ることができるなどの利点があります。また胃ろうは食べるリハビリも可能で、一旦装着しても訓練により再び口から物を食べられることもあるようです。
自分は胃ろうを望むか否か
「終末治療」「尊厳死」など誰もが共通する課題だと思います。けれどもそれぞれ考え方は違うでしょう。ある調査で自らの終末治療について胃ろうなど「経管栄養」や「人工呼吸器」などを望まない人が圧倒的に多いと聞きました。
認知症になる前に母と終末治療の話などまったしたことがなく、この時点ではとても本人の意思確認はできず、母の胃ろうなどの措置をするか否かは私が決めなくてはなりませんでした。私自身「そこ(胃ろうなどの措置)までして生きたくない」という気持ちがないわけでもありません。一方でできる限り長く生きたいという思いもあります。いざ自分がそのような現実に直面したらどういう心境になるかはわかりません。
やがて必ず訪れる自分の死について歳を重ねるにつれ考えることが多くなりましたが結論はまだまだ出せそうにありません。