シニアの知って「得」する国の制度 第26回「10年年金」その2
支払い10年未満でも10年年金もらうことができる?
前回、年金の払い込み年数が25年必要であったものが、10年あればもらえるようになるという説明をさせていただきました。しかし、年金を払ってこなかった方々の中には、その10年にも満たない人もいらっしゃいます。その場合は、やはり年金はもらえないことになってしまうのですが、10年支払っていなくても、「将来的にもらえるようにする」ための、いくつかの方法があります。
追加で年金の保険料を払う~国民年金の任意加入~
国民年金の保険料を払わなければならないのは60歳までです。しかし、もらえる金額を増やしたいなどの理由や、払い込み年数が足りない場合に、任意で国民年金の保険料を払うことができます。これを「高齢任意加入」といいます。たとえば、60歳になった時点で、8年分しか払い込み年数がない場合、あと2年分払うことで10年分になります。このように、本来払わなければならないという義務が60歳で終わっているところを、あえて払い込むという、任意加入制度を利用することで、10年分の払い込みを達成することができる可能性があります。
払い忘れの期間の分を払う~後納制度~
国民年金は、納期限を過ぎ、2年を経過すると、払うことができなくなります。しかし、2年以内であれば払うことができると同時に、本来払わなければならないものなので、保険料を払うように督促されます。つまり、2年以内の未納は後から払うことで払い込みの月数を増やすことができます。しかし、現在は「後納制度」といい、さらに3年前の未納まで払うことができます。つまり、5年以内の未納を払い込むことができます。任意加入制度と後納制度をあわせて利用することで、払い込み年数がだいぶ挽回できます。この後納制度は、平成30年9月までの時限措置となっており、やがては2年以内の未納を払うことができるのみとなります。
仮に1回も払ってない場合には?~高齢任意加入と受給権~
国民年金はもちろん、会社勤めなどで加入する厚生年金もまったくない場合、これまではとても25年の払い込み年数を達成することができず、年金がもらえるようになる可能性はありませんでした。しかし、この「高齢任意加入制度」は70歳になるまで払い込むことができるので、60歳からしっかり任意加入の手続きを行い、70歳まできっちり払い込んでいけば10年分の払い込み年数を達成できます。保険料額は、平成29年度で16,490円となります。
現実には、60歳の時点でまったく年金を払ったことがないという人はほとんどいらっしゃらないと思いますので、70歳までにもらえるようになるかを、年金事務所で確認したうえで、「可能性があれば払い込みを考える」のをおススメします。
さて、次回は10年年金で「任意加入しても10年に満たない」場合、これまでの年金加入記録等を確認したうえで、「形式的に10年以上の払い込みがあることとなる」制度である「合算対象期間」についてのお話です。この合算対象期間は、世間的には「カラ期間」と呼ばれています。年金がもらえるかどうかの瀬戸際にある人は、特に必見です。
シニアの知って「得」する国の制度 第27回「10年年金」スタートしました!