日本の介護・医療の現場 シリーズ⑤これからの高齢者支援
65歳以上は4人に1人、3,000万人超
現在、国民の4人に1人は65歳以上であり、3,000万人を超えています。団塊の世代が後期高齢者(75歳以上)を迎える2025年以降は国民の医療や介護の需要がさらに増加することが見込まれています。厚生労働省は2025年を目標に高齢者の自立生活の支援を「可能な限り住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続ける」ことが出来る様にと地域の包括的な支援・サービス提供体制(地域包括ケアシステム)を推進しています。
下記の図(厚生労働省の資料を引用)を参照。
しかし元気な高齢者が生活支援の担い手としてボランティアやNPOなどを活用する事は要支援者を介護保険から切り離す事にもつながりかねないという事も考えられます。
今後は生活支援が必要な単身高齢世帯が急増
要支援・要介護の高齢者の中には、生活支援がなくては暮らせない人が多く、在宅で要介護者を抱える世帯に必要とされる介護サービス内容の上位3位をみると(1)入浴介助(2)洗髪(3)体を拭く清拭―といった「身体介護」が中心となっているのに対して、単身世帯では(1)掃除(2)食事の準備(3)買い物―などの「生活支援」が挙げられます。さらに今後は独り暮らしで生活支援が必要な単身高齢世帯が急増すると言われ、調査では75歳以上の単身高齢世帯は2010年の269万世帯から25年には447万人と1.7倍になると推測されます。
介護保険サービス以外の「地域の包括的な支援・サービス提供体制の充実」
しかもその単身高齢者の特徴は男性が多く、未婚で配偶者が居ないだけでなく子供も無い事が考えられ、老後を家族に頼ることが出来ない高齢者が一層多くなるわけです。これら全てを介護保険サービスの利用に置き換えれば国の財政破たんとなるため、介護保険サービス以外の「地域の包括的な支援・サービス提供体制の充実」を国は求めているのです。例えば65歳以上の高齢者が介護ボランティアをした場合にポイント特典を与え、本人の介護保険料の負担軽減に加える市町村もあると聞いています。
元気な高齢者こそ高齢者支援の担い手に
これからは国が提案している高齢者の支援サービスとして生活環境の状況に合わせたボランティアやNPOなどを活用した様々なサービスが加速し、介護保険サ―ビスもますます必要となり介護保険料の引き上げは避けられません。この引き上げは現役世代からの反発も予想されますが、介護保険があるからこそ現役世代とってその父母親が要支援・要介護になっても仕事の継続が可能なのです。
元気な高齢者の皆さまこそ高齢者支援の担い手として積極的に参加する事は高齢者同士の心の共有と生きがいの再発見、さらには認知症の予防となると信じております。
加藤 仁 氏
生年月日:S22年(1947)3月3日
ユニオン・ホールディングス株式会社・代表取締役・社長
特定医療法人・共和会・最高顧問
社団医療法人・大仲会・理事長
愛知県医療法人協会・参事
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