外見上はわからない場合でも、障害によって困っている人がいます!③「基本の応対その2~パニック時の応対と緊急時・異常時の応対~」編
「外見上はわからない場合でも、障害によって困っている人がいます②」では、基本の応対コミュニケーション~編をお伝えしました。今回も国土交通省の「発達障害、知的障害、精神障害のある方とのコミュニケーションハンドブック」から「パニック時の応対と緊急時・異常時の応対」についてお伝えします。
基本の応対~パニック時の応対~
パニック時の応対
こんな様子が見えたらパニックになっている 可能性があります
- ●わーっと走って行ってしまう。
- ●大声を出したり、奇声をあげる。
- ●飛び跳ねたり、泣き叫ぶ。
- ●耳をふさいで固まってしまう。
- ●柱などに頭をゴンゴンとぶつけ出す 。
- ●怒り出したり、暴れて、周囲の人に乱暴をする。
- ●動悸、胸の痛み、めまい、吐き気、息苦しさの訴えがある。
- ●急に気分が悪くなり、早く乗り物から降りたいという希望がある。
ポイント「まず、生命の危険を回避し、怪我などをしないように応対します」
- ●パニックになって大声を出しているなどの場合には、「大丈夫ですよ」と声をかけ、落ち着くのを待ち、安全な場所に誘導します。
- ●走って行く方向によって危険を感じたら(例えばホームから転落しそうだったら)、後を追い、止めます。
- ●危険な場所や物から遠ざけることが必要です。「大丈夫ですよ」と声をかけ、「危ないので、一緒に○○(具体的に)へ行きます」など、何をするのかを具体的に伝え、安全な場所に誘導します。
- ●保護者に対しても、「大丈夫ですよ」と声をかけて安心させます。
ポイント「 次に、落ち着けるように不安などを取り除きます 」
- ●強引な応対はかえって不安が増大する場合があるので、安全な場所ならば、そのまま落ち着くまで見守ります。
- ●しばらく休めば治る場合もあるので、安心して休養ができるよう、その場から離します。必要に応じて救護室や別室に案内し、静かなところで落ち着けるようにします。保護者や 介助者がいれば、その方にも声をかけます。
ポイント「必要があれば保護者等へ連絡をとります」
- ●「連絡先を教えてください」と本人にたずねます。答えられない場合は、「連絡先を知りたい ので、一緒にカバンを見ましょう」などと不安にさせないように声をかけ、一緒に確認します。
- ●本人の障害への配慮や連絡先を記載した連絡用のカード(「サポーカード」や「助けてカード」)※を持っている場合がありますので、確認してください。
- ●胸の痛みなど、体調の異常を訴える場合は、救急車を要請します。その他体調や精神症状の異常が見て取れたときは、地域の精神保健福祉センター、障害者支援センター、特別支援学校などへ連絡します。そのため、事前に地域の主要な連絡先を確認しておくことが求められ ます。
※連絡用カードなど「外見上はわからない場合でも、障害によって困っている人がいます!④コミュニケーションツール編」でご紹介していますので、ご参照ください。
【応対事例1】 威圧感を与えないよう一人で応対する
ラッシュ時に走り回っていた方がいたので、パニックに ならないよう、複数の係員が見守る中で、まずは一人で 近づいて安心させ、安全な場所へと誘導しました。走っ て逃げださないか不安でした。
【応対事例2】「大丈夫ですよ」と安心させる
「追われている」といいながら大声を出して走り回ってい た方がいたので、「今、つらいですね。大丈夫ですよ」と 諭すと、安心し、自分のことを話し出しました。パニッ クに同調せずに冷静に応対したことがよかったようです。
なぜパニックになるのでしょうか?
- ■予定外のことが起きたり、こだわりの強いことが思うとおりにならないことでパニックになる人もいます。
- ■聴覚過敏により音に敏感で、大きな音などに反応してパニックになる人もいます。知覚過敏としては、においに反応したり、急に知らない人に触れられてパニックになる人もいます。
- ■狭いところ、人混みなど苦手なものに対してパニックになる人がいます。
- ■体調が悪い場合や過去に怖い経験をしたなど不安になるきっかけがあるのかもしれません。
基本の応対~緊急時・異常時の応対~
地震・災害が発生したら?
普段からの心構え
障害のために、避難誘導の指示が伝わらない人がいることを前提とした取組みが必要です。
ポイント「声をかけて、状況を伝え、安全な場所へ誘導します」
- ●誘導の指示がわからずウロウロしていたら、声をかけて周囲の状況や避難誘導の内容を伝 えます。
- ●避難誘導の指示を理解できないときには、係員が付き添って安全な場所へ誘導します。
ポイント「パニックになっている人がいたら、 安全を確保した上で、誘導します」
- ●まず、生命の危険を回避し、ケガ等をしないように応対し、やさしく「大丈夫ですよ」と声をかけ、避難誘導をします。
普段と異なる状況(列車やバスの運転の中止・遅延など) が発生したら?
普段からの心構え
アナウンスが聞き取れなかったり、内 容がわからないため、普段と異なる状 況であることを理解できない人がいることを前提とした取組みが必要です。
ポイント「どうするべきかわからない⼈がいたら、 ⽬的地に到達するために必要な情報をわかりやすく説明します 」
- ●どうするべきかわからずウロウロしている、ホームに立ったままなど、状況判断ができなかったり、困ったりしているようなら、「どこへ行かれるのですか?」と聞いて、目的地に到達するのに必要な乗り場所や乗り方をゆっくりていねいにわかりやすく説明します。
【応対事例】困っていることに「気づき」、情報をわかりやすく伝えて理解していただく
電車の遅延情報を理解できずにホームをウロウロとされている方がいたので、「遅延のことがわかっていないの ではないか?」と気づきました。ゆっくりと近づいて「どうしましたか?」とたずねたところ、「いつもの電車 が来ない」と困っていました。「どこまで行かれるのですか?」とたずね、「いつもの電車ですよ。5分遅れています。」と時計をさして説明し、理解していただきました
出典
国土交通省「発達障害、知的障害、精神障害のある方とのコミュニケーションハンドブック」より
WEBワライフ「外見上はわからない場合でも、障害によって困っている人がいます!①「障害の理解」編」
WEBワライフ「外見上はわからない場合でも、障害によって困っている人がいます!②「基本の応対その1~コミュニケーション~」編」