シニアの知って「得」する国の制度 第8回 障害年金、私も受けられる?~保険料未納でも可能性~
前回で障害年金では「初診日」が勝負となることを書かせていただきました。しかし、初診日が確実であれば障害年金を受けられるということではありません。国民年金や厚生年金は「保険」であるため、「保険料を納めていること」が大前提となるのです・・・が!!
保険の未納があると、ダメ?
厚生年金保険料であれば給料から天引きして会社が国へ納めるため、未納という事態はありません。しかし自分で直接保険料を納める国民年金では、放っておくと単純に「未納」となってしまいます。では、この未納が少しでもあると障害年金はもらえないのか?という疑問があります。未納でも良いということはありませんが、長い人生、保険料を払うことができない時も・・・。なので、未納があっても直ちに障害年金をもらえなくなってしまうということもありません。
ルールとその「ツボ」
障害年金を受けるために「最低限必要」な保険料(納付要件)の見かたは2種類あります。
「初診日の前日」において、
①「納めた期間」と「保険料を免除(市役所又は年金事務所に申請)された期間」が、本来保険料を納めなければならない期間の3分の2以上あること
②初診日が65歳未満であり、その前々月までの1年間に未納がないこと
初診日の「前日」というのがクセ者です。保険とは何か事故が起こったときのために前もって保険料を納めておくものです。例えば事故に遭い救急車で運ばれ病院で治療を受けている時、保険料を払っていないことに気づいて家族にその「当日」に保険料を払ってきてもらう。これで障害年金がもらえるというのは甘すぎます。これが「初診日の前日において」ということであれば救急車で運ばれた時点で払っていないことが確定し、つまり事故が起こった後で保険料を払っても、アウト・・・という仕組みになっています。
①を分かりやすく言うと、例えば35歳の人の場合、20歳からの15年間の中で未納が5年を超えていると障害年金はもらえない、というもの。
②については20歳から14年間未納でも「直近の1年分さえ支払っているか免除されていれば」障害年金をもらえる(!)というものです。
理屈を知る
国民年金保険料の納期は「翌月末日」。6月の保険料は7月31日までに納めます。もし6月に初診日がある場合、6月分の保険料はまだ納めていなくても納期限前なので問題ありません。5月の保険料は6月30日が納期限なのでこちらもまだ納めていなくてOK。しかし、4月の保険料は5月31日が納期限であり、6月の初診日の時点で4月分を納めていないと未納が発生します。
このことから、6月が初診日の場合には前々月である4月から前年5月までの1年間の未納がなければ「その前の期間がすべて未納であったとしても」要件はクリアとなります。
目からウロコ・・・というお話
もし、保険料を納めていない期間が数年・数十年という場合でも、まずは「直近1年の保険料だけ納めて」おき、その後払い続けていけば、万が一障害状態となったときでも保険料要件はクリアできます。「老齢年金は、納付済+免除月数が300月なければもらえない」ものですが、「障害年金の場合は、極端な話12ケ月保険料を払うだけ」で可能性があるんです!「将来年金なんかもらえるかどうかわからないから(納める意味がない)」などと言わず・・・。そして、経済的な事情で保険料を支払えない場合は、堂々と免除の申請(市役所又は年金事務所)をしていただきたいと思います。「未納」と「免除」では天と地の差です。
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