第11話 睡眠学習について
今号では、最近のホットニュースとして「睡眠学習」について予定を変更して解説をしてまいります。
「全国学力・学習状況調査」(学力テスト)で秋田県の小学六年生・中学三年生の成績が良く、これは睡眠と関係があるのだろうかと分析が行われ、様々な関連裏付け報告が公開されました。読者のお孫様(お子様)の勉強に対する取り組みと、その後の睡眠状況(時間と長さ)は如何でしょうか?大事なお孫様(子供様)が少しでも学力がつき、明るい将来にしたいと願う事は全ての親の願いでもあります。睡眠はヒトの心身の中枢である脳を育て、守り、修復する大切な役割を果たしている。適切な睡眠は子供の成長過程において、最も重要な要素と言えます。
解明されてきている睡眠学習について解説してまいります。
睡眠学習とは?
眠っている間を利用して、「記憶学習」をすることです。
【3つの要素】
「収集」…脳が新しい情報を取り入れる事
「固定」…記憶が安定する事
「想起」…脳に保存された情報を取り出す事
この内の「収集」と「想起」は起きているときのみに発生する脳のメカニズムですが、折角、勉強して覚えた内容を、脳が長期記憶(記憶の固定)するのは「睡眠時だけ」のメカニズムであります。「記憶学習」を深堀りしていきます。
脳の記憶学習(記憶の固定)は寝ている間のいつされるの?
連載文に時折登場する「レム睡眠」「ノンレム睡眠」という言葉を振り返ってみてください。大きな役割として、
「レム睡眠」…記憶の整理
「ノンレム睡眠」…記憶の固定(新しい情報を長期記憶へ変える作用)
(注:最近の研究によりレムであれノンレムであれ両方の時間帯で記憶を整理している事が報告されております。)
必要以上に勉強をして疲れた状態(ドーパミン過剰分泌)で睡眠した子供の学力記憶(固定)よりも、寝る前に適度な勉強をして、なるべく早めに眠りについた子供の学力記憶(固定)が明らかに良いという報告があります。ここでいう「記憶の固定」は、寝入りばなの50分から90分程(個人差があります)で、深い睡眠に導かれるこのタイミング、そう「ノンレム睡眠」(徐波睡眠)が最も効率の良い記憶固定 という事になります。
少し脱線しますが、人は覚えた事をどんどん忘れていくといいます。(エビングハウスの忘却曲線参照)
たった20分後には、一生懸命覚えた勉強なのに「42%」を忘れてしまい、1時間後には「56%」。1日経つとなんと「74%」も頭から消え去ってしまうという曲線です。
では、最後に
「睡眠学習」の効果的な方法は?
効果的…「記憶学習」=単語や意味、熟語、連語、構文など単純な「知識記憶」(丸暗記のような)
逆効果…「理解学習」=論理的に導き出す学習は起きている時のみ(前頭葉が明瞭の時は理解学習)
寝る前に負担のないレベルの(ドーパミンが過剰分泌しない程)勉強をして、ノンレム睡眠までの90分以内に覚えたい単語などを、気にならない程度の音量で流す。(寝入りばな90分以内で電源OFF・それ以上は非効率・逆に睡眠の質に影響)
◇どうでしょうか。これが睡眠健康指導士である私が導き出した「睡眠学習の方法」です。お孫様の参考にしてみてください。
次号では、いよいよ寒い寒い冬、起きてもまだ空は真っ暗、「冬季うつ病と睡眠の関係」について解説させていただきます。