介護制度について考える 第24回
施設さがし(1)
施設を選ぶ条件
ほとんど寝たきりで認知症も重い要介護5の父。R病院から、その父を退院させるようにと言われました。
自宅へ退院するのはとても無理なので入所できる施設を探さなければなりません。
介護を必要とする人が入所できる施設はたくさんあります。しかし入所者を受け入れる条件は施設ごとに千差万別です。父の状況や家族の希望に合った施設を探すのは簡単なことではありません。施設を探すにあたって、私と母、妻、弟ら家族で話し合い、入所施設の条件を定めました。希望する最低限の条件は以下の5つでした。
①重度の認知症と身体機能 低下のある父を受け入れて もらえる。
②期限を定めない長期の入 所ができる。
③なるべく早く入所できる。
④私たちの支払い可能な費 用である。
⑤母が面会できる距離にある。
これら5つは外せない条件です。
そのほか、可能な限り希望したい条件として以下の6つを挙げました。
⑥看取りのお世話を受けられる。
⑦経営の安定した法人によって運営されている。
⑧職員の研修がきちんとし、介護の質に優れている。
⑨医療機関との連携が密接に図られている。
⑩外部評価を受けている。
⑪見学してみて、雰囲気が良い。
この6つは、絶対条件ではないけれど、できればかなえたい条件でした。施設を選ぶ際には、このように「最低必要な条件」と「できれば求めたい条件」などの選ぶポイントを明らかにしておくことが大切です。
介護施設探しの情報源は?
そしていよいよ施設探しがスタートしました。まずは、施設に関する情報を手に入れるため、いろいろなメディアに当たりました。地域にある介護施設の一覧は役所や介護支援事業所(ケアマネジャー)からでも入手できます。書店に行けば介護施設を紹介する書籍が目に入りますし、この『ワライフ』のような介護情報誌も活用できます。もちろんインターネットでも介護施設を紹介するサイトは無数にあります。とくに厚生労働省と各都道府県で管理されている「介護サービス情報公表システム」は、市区町村別、施設の種類別に個別の介護施設情報を検索して調べることが出来ます。
http://www.kaigokensaku.jp
これらのメディアを使って、条件に合う施設をいくつか選び出すことが出来ます。でも「すぐに入所できるか」とか「職員の研修体制や介護の質」あるいは施設内の雰囲気や環境などはメディアを通してはなかなか分かりません。また、入所費用などはひとりひとり違います。書籍や雑誌、インターネットなどによる情報はあくまで不特定多数に向けたものですから、具体的なことはやはり直接施設を訪ねて担当者と話したり見学させてもらったりして調べることが必要になります。
迷って悩んで
それでもやはり介護施設を探すのは困難なことです。実際に探し始めて、改めてその困難さが分かりました。気に入った施設が近くにあっても、入所できるまでの待機期間が長い。逆に、すぐ入所できるけれど費用がとても高い。パンフレットでは綺麗に見えたけれど、見学に行ってみると施設内は乱雑で職員は無愛想・・・など、いろいろと長所短所が見え迷いは尽きません。だからといって父の生命と生活を委ねるのですから安易な選択はできません。さあどうしよう。迷い悩んでいるうちに、R病院を退院しなければならない日が次第に近づいてきました。