シニアの知って「得」する国の制度 第17回
共済年金(公務員)は
厚生年金(一般サラリーマン)になった?
公務員は民間企業に比べて優遇されており、特別な年金を受けられることとなっていましたが、ついに、その格差をなくすための「年金一元化」が、実現しました。基本的には厚生年金の制度にそろえられることとなります。
年金の種別は、どうなる?
一元化前は「厚生年金は民間の会社」のみでした。しかし、公務員で共済年金の加入者は一元化後には民間と同じく厚生年金保険の被保険者となります。ただし、共済組合が廃止されるわけではありません。今後、以下のような種別で分類されます。
第1号厚生年金被保険者:民間の会社の厚生年金で、従来のもの
第2号厚生年金被保険者:国家公務員共済組合の加入者であった者
第3号厚生年金被保険者:地方公務員共済組合の加入者であった者
第4号厚生年金被保険者:私学共済の加入者であった者
すべて厚生年金被保険者となりますが、給与から天引きされる保険料は第2号であれば国家公務員共済組合に払い込まれることとなりますので、何もかもが厚生年金になってしまうわけではありません。
共済年金の「職域加算」は、廃止
いわゆる官民格差をなくしていこうということで、「職域加算は廃止」されることとなりました。ただし、現に退職共済年金を受給している方への職域加算は続きます。廃止されるのは、今後年金をもらい始める人についてのことです。
また、一元化前に共済組合に加入していた期間についての年金には職域加算が加算されます。つまり、平成27年9月までに公務員を退職した場合は従来の通りです。
では、一元化前に公務員の期間があり、平成27年10月以降も引き続き公務員である場合はどうでしょうか。これは平成27年9月までの期間については職域加算、同年10月以降は新しく設けられている「年金払い退職給付(法律上は「退職等年金給付」といいます)」の支給となり、新旧の給付が入り混じっての支給となります。もちろん、一元化後に初めて公務員となった場合には「年金払い退職給付」となります。
新しい「年金払い退職給付」は、どんな内容?
支給要件は以下の通りです。
・65歳以上であること
・退職していること
・1年以上引き続く組合員期間を 有していること
なお、この支給要件を満たして65歳以降退職年金の請求を行っていない場合には最高70歳まで繰下げをすることができ、その場合には増額した退職年金を受け取ることができます。また、当分の間は本人の希望により60歳から繰上げ受給することもできます。この場合には減額した退職年金を受給することとなります。
内容としては総額の半分ずつ「有期退職年金」と「終身退職年金」に分けられます。有期退職年金は原則20年の支給期間とされていますが、その期間を10年に短縮または一時金での受給も可能です。終身退職年金は亡くなるまでですが、この部分を繰上げまたは繰下げによる受給が可能です。
受給者本人が亡くなったら終身退職年金は打ち切りですが、有期退職年金については原則20年の支給期間の残金が一定の遺族に支払われます。
10月から始まっている一元化ですが、多岐にわたって制度の見直しがなされています。今回は公務員についてのお話が中心でしたが、従来の厚生年金受給者にも影響があります。先にも述べた通り基本的には厚生年金の制度に合わせられていますが、逆に共済年金の制度に合わせられた部分もあります。
次回は共済年金に合わせられた部分についてのお話です。有利になっている部分もありますので、厚生年金の受給者は必見です。
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