親の介護 番外編二
親の介護 番外編二
「できる限り傍で面倒を」 義母の思い
義父が施設に入ることに義母はためらいを抱きつつ、病院の退院と同時に施設に入所するための日程調整はすすみます。義母は「できる限り家で看ておけば良かった」と後悔するのではないかと迷っているようです。しかしそんな義母の心配とは裏腹に義父は至ってポジティブでした。
義父は施設への入所を希望
病院に入り治療により少し元気になると義父は「次はどこ(の施設)へ行くだん」と言いだしました。どうも家に帰ることはできないとあきらめているのではなく、家に戻る気がないようなのです。決して施設に入ることを嫌がっているようではなく、むしろ自分から積極的に行きたがっているようです。家族へ負担をかけたくないという配慮もあると思いますが、どうもそれだけではないようです。
賑やかな場所で暮らすという選択
もともと人の輪の中にいることを好み、入院前に通っていたデイサービスも喜んで行っていました。カラオケをしたり絵を描いたりレクレーションを楽しみにしていました。社交的な性格で人見知りせず、初対面の人にも自分から話しかけ会話を弾ませる義父は、日中誰もいない自宅に居るより常に人が居る施設を望んでいるようなのです。退院後のことを相談したケアマネージャーさんもディサービスの頃から義父を知っているので「ご自宅より人が大勢いて賑やかな施設への入所が向いているんじゃないでしょうか」と語っていました。
楽しみを見出し前向きに生きる
認知症のため家で暮らすことに限界を感じ病院に入れざるを得なかった私の実母とはまったく対照的で義父の話を聞き驚きました。私の母は入院してからも自宅に帰ることを強く望んでおり、「帰りたい」という言葉を聞くたび切なさを感じました。それとは逆の義父の前向きな姿勢に周りの家族はびっくりですが、一方ためらいを見せないことに救われる思いもあります。義父を潔いというのは適切ではないかも知れませんが私にはそう見えます。今の置かれた境遇の中で、常に楽しみを見出し前向きに生きようとする義父に私は多くを学んでいるように思います。
退院しそのまま施設に移動した入所初日、早速みんなの前でカラオケのマイクを握り進行役をしていた義父の姿がありました。これまたびっくりの出来事でした。