親の介護 『胃ろう(PEG)』から『中心静脈栄養(IVH)』へ アルツハイマーの母から学んだこと その二十三
太い血管にチューブを入れる『中心静脈栄養』
「胃ろう」の措置を母が施す際「平均3年」と医師からは説明を受けました。実際はそれよりもかなり長く続きましたが約10年目に入った今年、胃ろうも限界にきました。母が生命を維持する栄養の補給は胃ろうから『中心静脈栄養(IVH)』に変わりました。
中心静脈栄養は鎖骨・首・足の付け根にある太い血管にチューブを入れ濃い栄養を入れる方法です。消化器疾患などで腸から栄養の吸収が難しくなった場合などにとられる措置のようです。
脳の萎縮により消化機能も低下
母の場合、胃ろうから液が漏れ出し穴の周りがただれてきました。医師の説明によると、CTの画像をみると脳の萎縮が進行していて、そのため消化器の機能も低下してきているため十分な消化ができず漏れ出しているのではないかとのことでした。これ以上の胃ろうは難しいという結論でした。
胃ろうの後の措置については次の方法がありました。細い血管に点滴をする『末梢静脈栄養(持続点滴)』か、『中心静脈栄養』で濃い栄養を摂るのかの二つです。腕や足などの血管に針を入れる末梢静脈栄養は薄い栄養を入れることは可能ですが、濃い栄養を入れられないので長期の点滴には向かないようです。中心静脈栄養は必要な量の栄養と十分な水分を入れることができ、消化管への負担も少ないことがメリットだと言われました。しかしチューブが入っている部位の感染リスクがあり清潔にしておく必要があるとのことでした。
母の人生の『幕引き』?
私はこれからの措置として「中心静脈栄養」を選択しました。『保険の効く一般的な医療でできる限りの措置』が私なりの考えですが、実のところは『命にかかわる選択からできるだけ避けたかった』というのが本音です。末梢静脈栄養の場合、おそらく急激に衰弱し『最期』は早い時期に訪れることになるでしょう。末梢静脈栄養を選ぶことは私が母の人生の『幕引き』をすることになるように思え怖かったのです。いわば私にとって『無難な選択』でした。