シニアの知って「得」する国の制度 第25回「10年年金」
年金、10年支払えばもらえるようになる?
現在、年金は25年(300ヵ月)払っていないともらえないことになっています。しかし、法律改正で、この25年の条件が10年(120ヵ月)でよいとされました。これにより、国民年金を払わずに未納が多い場合でも、もらえるようになる人が増えてきます。この10年年金に該当する方へは、現在、大きめの黄色の封筒が送られています。それが送られてきた人は、これまで年金をもらえませんでしたが、今後もらえるようになった人です。
いつから?
今回の法律改正は、平成29年8月施行となっています。つまり、もらえる権利が8月で発生し、その翌月の分、つまり9月の分からもらえるようになります。その9月の分の年金は、10月16日に振り込まれる予定になっています。当然ですが、ただ待っていれば自動的に振り込まれるわけではなく、年金請求手続きが必要になります。黄色の封筒が届いたら、年金事務所へ手続き方法を問い合わせるとよいでしょう。
いくらもらえる?
もらえる額は、国民年金の「老齢基礎年金」と厚生年金の「老齢厚生年金」にわかれますが、老齢基礎年金に関して、最高額は779,300円/年です。これは国民年金・厚生年金問わず40年(20歳から60歳まで)完全に払い込んでもらえる金額です。そこで、仮に10年分払い込んである場合には、単純に40年分の10年で、194,825円/年です。
その10年の中に、厚生年金があれば、この194,825円+厚生年金の受給額となります。厚生年金の額は、その月数と給料の高低で、人それぞれなので、一概には言えません。こちらも年金事務所で確認するとよいでしょう。なお、電話ではもらえる年金額を教えてもらうことができないので、年金事務所へ出向く必要があります。
25年以上支払った年金との違いは?
10年年金と通常の年金の計算式などはすべて同一のものです。先の説明のとおり、老齢基礎年金では、最大である40年分と、ぎりぎりの10年分で、単純に4分の1ですが、10年年金の方が不利な計算方法であるということはありません。
それでも、当然両者には差があります。一番大きな違いは、「遺族厚生年金がもらえるようになるか」という部分です。これまで、老齢厚生年金をもらっていた人が亡くなったら、遺族厚生年金が支給されていました。しかし、今回の10年年金として年金をもらっていた人が亡くなっても、その妻などに遺族厚生年金が支給されることはありません。会社員の期間があった夫が10年年金をもらっていた場合でも、その妻は遺族厚生年金をもらえないのです。
しかし、厚生年金は基本的に最高70歳までかけることができます。10年年金をもらい始めた時点で25年なくても、70歳になるまでに25年分以上を払い込めば、それはもう10年年金ではなく、原則通りの25年以上の年金となります。したがって、その人が亡くなったら、遺族厚生年金が支給されることになります。
「10年年金」は、今まで無年金だった人が年金をもらえるようになるという改正です。しかし、10年にも満たない人はもうあきらめるしかないのか?という疑問もあると思います。次回は、10年に満たない場合でも年金をもらえるようになる可能性を考えます。10年未満であきらめかけている人、必見です。
シニアの知って「得」する国の制度 第26回「10年年金」その2
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