新しい供養のかたち 第2回墓じまいとは?
墓じまいとは?
現在では、継承者はいるがお墓のお世話が難しい状況になってしまった家、今後難しくなりそうだと判断している家の方が行っています。
撤去時は永代使用権と呼ばれる、お墓がある限り永代的に使用できる権利を寺院・霊園に返還し、更地に戻すのが一般的です。
お遺骨に関しては主に寺院に依頼し永代供養にするか、散骨を選ばれる方も増えています。
多様化するお墓のカタチ
みなさんがイメージする「お墓」はどんなイメージでしょうか?
市町村が運営している公営墓地のお墓、寺院が運営しているお墓などではないでしょうか?
命日、お盆、年末年始に墓花や供物を買って家族みんなで出掛け お墓の掃除や草取りをしお参りをする。そんな風景が当たり前にありましたよね。
しかし現在のお墓のカタチは社会の変化にともない多様化しています。
ロッカー式の納骨堂、手元供養として自宅墓、また最初から墓石をたてずに樹木葬や海洋散骨、寺院にて永代供養依頼といった様々なカタチが提案され選ばれるようになっています。
これからのご遺骨供養
従来型のお墓を建立しない方が増えてきたのにはいくつかの理由が考えられます。
一つ目は墓地の区画不足により物理的に建てたくても区画がないということです。墓地運営側は区画拡大を試みているところもありますが需要を満たしているとは言えず、また拡大したところで以前のように完売できる見込みもなく慎重に計画せざるをえない現状だそうです。
2つ目は費用の問題です。
一般的なお墓を建立するのに必要な費用は区画の使用権取得として30万~60万、墓石を購入し字彫りや周辺備品、工事費用などで135万程、合計でお墓を建立するにあたり全国平均200万程は最低限かかります。
医療が発達し高齢化社会である今、ご生前の医療費、高齢者施設や介護サービスの費用、葬儀費用を支出した後のご遺族にその費用負担はかなり重くのしかかります。
3つ目は生活環境の変化です。
お参りをされる方の高齢化によりお墓参りにいくこと自体ができなくなってきていたり、親子が同居していたのが当たり前だった時代も終わり、それぞれの家庭が違う地域に住んでいるのが当たり前になっています。今、建立したお墓をこの先、何代にもわたり継承し供養をしていける環境ではなくなってきているのは誰しもが感じでいるのではないでしょうか? 今すでに一つの家がいくつかのお墓のお世話をしている方が皆さんの周りにもいらっしゃるのではないでしょうか?
そして最後の理由が価値観の変化です。
5月号でのコラムの仏壇じまいが増えているのと理由は同じで、「お墓」という形式にとらわれず 先祖供養を考える方が増えています。お世話もできない、お参りにもいけないお墓を建立したり、放置するより、供養整理をしたうえで自分たちなりの供養のカタチをみつけていっているのでしょう。
最初から「お墓をもたない」という選択をする方も多くでてきました。
お墓をしまい永代供養にした場合、寺院が永代にわたり供養をしてくれます。年忌法要の代わりに永代経といった合同法要を年2回程度ひらいている寺院が多いかと思います。
尊敬と感謝の念を心に抱きながら供養をつないでいくという面では家族以外の力を借りていくのも一つの策だともいえますね。
全国で放置墓地の問題もメディア等で騒がれています。
墓地の管理者不明、運営費未納、古い墓石の倒壊、これらの事態をまねくのはある日突然ではないと思います。それぞれの家が供養の問題を先送りし対処をしてこなかった結果ではないでしょうか?
放置墓になっているお墓は一定期間の猶予期間ののちに撤去され無縁塚に葬られます。
お墓じまいをされる方は多くは断腸の思いでされます。
それはご先祖様を想う気持ちがあるからこそだと思います。
大事に想うからこそ、無縁塚に葬られることにならないように、お墓を荒れた状態で放置するような無礼がないように、供養整理をしてこれからの時代に備える行動は決して先祖を粗末にあつかうということではないと思います。
WEBワライフ「新しい供養のかたち 第1回仏壇じまいとは?」
WEBワライフ「新しい供養のかたち 第4回これからの葬儀のカタチ」
WEBワライフ「新しい供養のかたち 第5回施設葬が増える理由とその意味」