「農福連携」 福祉分野での農作業支援制度とは?⑤高齢者の福祉と雇用/生活困窮者等の自立支援策
高齢者が農業に取り組む際の支援は?
高齢者が、有償ボランティア活動等による一定の収入を得ながら、自らの生きがいや健康づくりと同時に介護予防や生活支援のサービス基盤ともなるモデル的な活動について、その立ち上げ費用の支援があります。
例えば、高齢者が生産した農産物を用いて行う配食サービス活動等、高齢者による有償ボランティア活動(見守り、地域のニーズに応じた活動)の立ち上げに次の事業が活用可能です。
高齢者生きがい活動促進事業
内容:高齢者の生きがいや健康づくりにもつながり、同時に介護予防や生活支援のサービス基盤となる高齢者による有償ボランティアに関するモデル的な活動の立ち上げを支援します。
問い合わせ先:厚生労働省 老健局 振興課
生活困窮者等の自立支援と農業分野との連携は?
農業分野の事業所が、一般就労や就労訓練事業による支援付き就労、就労体験の場となり、生活困窮者を受け入れる等の連携が考えられます。
就労訓練事業
生活困窮者自立支援法が平成27年4月から施行されました。
この法律は、全国の福祉事務所設置自治体が実施主体となって、官民協働による地域の支援体制を構築し、複合的な課題を抱える生活困窮者に対して、就労訓練事業等のきめ細かな就労支援を含む包括的な支援を提供するものです。障害者の就労で実績のある農業分野においても、生活困窮者に対する就労支援の受け皿となることなどが期待されています。
問い合わせ先:厚生労働省 社会・援護局 地域福祉課 生活困窮者自立支援室
生活困窮者等の就農訓練事業
また、平成28年度から「生活困窮者等の就農訓練事業」を実施しています。
農業分野の事業所におかれては、本事業を実施する地方公共団体と連携して、生活困窮者等を受け入れることなどが考えられます。
生活保護受給者を含む生活困窮者が農業に従事することは、農業活動を通じて得られる心身のリハビリ効果などにより、心身の回復や自己有用感・就労意欲の向上につながるといった効果があると考えられます。
こうしたことを踏まえて、平成28年度から「生活困窮者等の就農訓練事業」を実施し、 NPO法人、農業法人等民間団体との連携により、農業体験や研修を通して、社会参加促進や就農(農業法人への就職や農産物の販売等を含む。)を含めた就労の支援があります。
問い合わせ先:厚生労働省 社会・援護局 保護課/地域福祉課 生活困窮者自立支援室
豆知識「農作物は百姓(百匠)が育てる」の考え
農業に従事している人を「百姓(百匠)」と呼ぶ場合があ ります。「姓」には広い言葉で「仕事、職業」の意味があ ります。このことから、百姓とは百の仕事ができる人とい う意味で、農業に従事する人を尊敬した表現という解釈が されています。
農業者の視点で農作業の内容をみると耕起、種まき、施 肥、生育管理病害虫防除、除草、収穫、出荷調整など、 おおよそ8つの作業に分類され、これらの作業をこなす 農業者は農作物を育てる『匠』」といえます。 しかし、種まき一つをとってみても、 ①鉢を準備 ② 土を準備 ③鉢に土を入れる ④種をまく ⑤水をやる といった細かな作業が積み上がって成り立っています。
出典 農林水産省パンフレット「福祉分野に農作業を~支援制度などのご案内~」(第五版)
WEBワライフ「農福連携」 福祉分野での農作業支援制度とは?
WEBワライフ「農福連携」 福祉分野での農作業支援制度とは?②農業と福祉をめぐる情勢