愛知県のグループホーム整備促進支援制度⑤運営その2
前回の愛知県のグループホーム整備促進支援制度④運営に続き、今回もホームの運営についてお伝えします。
利用者の金銭管理
入居者の中には、自分で現金の管理等を十分にできず、金銭管理に援助が必要な人 がたくさんいます。自分のお金が適正に取り扱われているかどうかを確認することもおぼつかない場合があります。
現金を扱う人と記帳する人を分けるなど複数で管理
お金の取り扱いは、間違いがおこらないために、現金を取り扱う人と、記帳する人を分ける等、複数で管理を行うことが原則ですが、グループホームは援助者数が少な いため、日常的に複数の人が確認するということが困難な状況があります。
とりわけ入居者自身の通帳の管理や通帳からのお金の出し入れについては、グルー プホーム関係者とは別の方が管理するしくみがあることが望ましいと考えます。
日常生活自立支援事業(社会福祉協議会)の活用も一つの方法
有料ですが、市町村の社会福祉協議会が行っている日常生活自立支援事業を利用す ると、通帳等の管理、預貯金の出し入れ等本人に代わって行ってくれます。入居者と 相談の上、活用するのも一つの方法です。その上で、グループホームへの必要経費の 支払いや小遣いの使い方等、さらに細かい点をグループホームスタッフが援助する方 法も検討してください。
お金を取り扱うルール化
前述の日常生活自立支援事業の利用もできますが、実際にはまだまだグループホー ムスタッフがかかわらざるをえない場合も多いようです。そのような場合には、お金 のトラブルや盗難等を防止するためにも、日常の援助に追われて、その取り扱いがル ーズにならないように、グループホームでのお金の取り扱い、通帳の取り扱い等につ いて、ルールを設けておくことが必要です。
- 利用者のお金を扱うことになりますので、金銭管理する側の立場で安易に扱うことなく、利用者の意向を十分確認することが重要です。
- グループホームには、現金・通帳をきちんと保管できるように金庫を備えつけ ておく必要があります。盗難の被害から守るためにも、持ち運びのできない金 庫を備えておいた方がいいと思います。
- 入居者人数分の生活費、食費等、相応のお金を扱うことになりますので、日常 の現金保管の上限額を定めておいた方がいいと思います。一定額以上の現金が 保管されないように決め、それを超える場合には銀行に預け入れる等の対応を こまめに行う必要があります。
- お金の出し入れを行う時には、必ず記帳し、残額が合っていることを確認する という原則を習慣づけることが大切です。特に入居者の生活費については、入 居者と一緒に記帳し、入居者と一緒に現金が合っているかどうかを確認すべき です。
- 取り扱いがルーズにならないためにも、人の目が入ることを確保することが必 要です。同じ運営主体の他ホームの職員同士あるいは運営にあたっている人等も含め、時々、現金が合っているかどうか、記帳がきちんとされているかどう か第三者的立場にある人からの確認を行うことが有効です。
短期入所からのグループホームへの入居
親元から離れて初めて生活をするなど、周囲の環境が大きく変わることになります。ホーム入所後は御本人の生活が安定するまで、しっかり見守っていくことが必要です。ちょっとした変化にも声がけをするなどして、御本人に安心して生活していただく配慮がいるでしょう。ただ、意外とすんなりホーム生活に移行できる こともありますので、思っているほど心配する必要はないのかも知れません。
大切なのは、入居する前に細かなアセスメントを取り、御本人の意向に沿った支援計画を立てた上で、御本人との信頼関係を築いて、支援に当たることです。
グループホームの運営で心掛けること
「ホッと」安心できる空間を提供
あくまでグループホームは、少人数での共同生活空間であり、家族ではないことを認識することだと思います。その空間の中でどのように「ホッと」安心できる空間を提供できるかということではないでしょうか。そのためにホームで利用者が何でも気軽に安 心して相談に乗れるようなキーパーソンとなれる方の存在が大切です。
利用者に何か気になることが見受けられたら、声掛けする
また、利用者一人一人の性格や体験が異なっていますので、最初からスムーズに生活できるわけではありません。意外と初めは我慢していて、外見にはスムーズに生活できているように見えても、慣れてきてからいろいろ問題が出てくるケースがあります。日々、利用者の状態に気を配り、利用者に何か気になることが見受けられたら、声掛けする等して、コミュニケーションをとっておくと、問題が大きくなる前に対処できる場合もあ ります。
グループホームに入る前の家での生活がとても影響(運営体験談)
グループホームに入居されて間もない方が、なかなか寝付けず苦労したことがあります。それはグループホームに入る前、就寝時はいつも養護者の方が隣で一緒に眠るとい う生活を送っていたことが原因でした。
利用者さんの生活はグループホームに入る前に家でどのように生活をしていたのかがとても影響します。今回の体験で言えば、グループホームに入居される前に養護者の方に、利用者が一人で眠れるようにしていただくようお願いすべきだったと思います。それが、利用者が一人で自分らしく生活していくスタートになっていくようにも思います。
体験入居、食事のお世話、異性介助について
体験入居のメリット
ホームの雰囲気、暮らし方などを確認できる体験入居は非常に有効
他の入居者との相性はどうか、グループホームの雰囲気や暮らし方がその人にあっ ているかを確認するために体験入居を行うことは非常に有効です。入居者同士の相性、 グループホームの雰囲気、暮らし方等、その人に合っていないまま毎日を暮らすのは、 利用者にとっても辛いものですし、利用者間のトラブルを招く恐れもあります。その ために、入居を決める過程でその人にとって暮らしやすい場所かどうか、他の入居者とうまくやっていけそうかを確認することが大切です。
定員に空きがある場合には体験入居の制度を
グループホームの定員に空きがある場合は、体験入居の制度を利用して、すでに入居している他の入居者とうまくいくかどうか、直接、試してみることをお薦めします。
また、新設の場合は、入居するかもしれない人たちで入居に向けて顔を合わせる機会や体験利用等、お互いが接する機会をつくる取り組みが役に立ちます。
提供する食事は必ず世話人が調理する必要はあるの?
必ず世話人が調理する必要はありません。宅配サービスを使っても問題ありません。
異性介助は認められますか?
異性介助の常態化は認められません。 職員が急遽欠勤する等、緊急やむを得ない場合については認められる場合がありま す。その際は異性の職員と利用者が2人きりにならないようにする等の配慮が求めら れます。
補助金等について
障害者共同生活援助事業費補助金
愛知県では、共同生活援助事業への新規参入の促進と、小規模事業所の経営安定を目的として、運営に必要な経費(休日等に配置するヘルパーの人件費等)を補助しています。
【参考】
・実施主体
市町村
・対象法人種別
社会福祉法人、医療法人、特定非営利活動法人、公益社団法人、 公益財団法人又は特例民法法人
・補助対象事業所
共同生活援助事業所で、事業所の利用定員が 20 人以下かつホ ームの利用定員が 9 人以下
社会福祉施設等整備費補助金(グループホーム)
障害のある方が地域での生活を営むことができるよう、グループホームの建設費に対する補助事業を行っています。 毎年 5~6 月頃に次年度に整備する事業分を市町村経由で募集します。
【参考】
・対象法人種別
社会福祉法人、医療法人、公益法人、特定非営利活動法人、営利法人等
・創設(新築)
補助基準額・・・2,380万円 補助率 3/4
その他、配置人数、障害福祉サービス等報酬額、職種の兼務などの規定については愛知県の「グループホーム整備促進支援制度について」等を確認してください。
上記の記事は平成29年6月の愛知県の資料をもとに作成していますので、必ずの関係各署にご確認ください。
WEBワライフ「愛知県のグループホーム整備促進支援制度①開設までの準備」
WEBワライフ「愛知県のグループホーム整備促進支援制度②開設までの準備その2」
WEBワライフ「愛知県のグループホーム整備促進支援制度③開設までの準備その3」
WEBワライフ「愛知県のグループホーム整備促進支援制度④運営」
WEBワライフ「愛知県のグループホーム整備促進支援制度⑥体験談」
WEBワライフ「愛知県のグループホーム整備促進支援制度⑦体験談その2」