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社会福祉法人 聖隷福祉事業団 保健事業部 健康コラム第1回 がん・脳卒中・心筋梗塞の三大疾病について―健康診断の重要性

 

病気の原因を避ける一次予防

 がん、心筋梗塞、脳卒中は、発生頻度が高い上に、生命はもちろん生活を脅かす大変怖い病気です。これらの病気はどのように予防すれば良いのでしょうか。病気を予防するためには、病気の原因を知り、これを避けるべきです。病気の原因を避ける、これが病気の予防の第一段階すなわち一次予防と呼ばれ、まずはこれに取組むことが大事です。

 

日本人の死亡原因  (出典:厚生労働省「平成28年人口動態統計」)

①食事

がんのリスクを減らす食品

 がんでいえば、実は、その半数は食事が関係していると言われています。例えば、動物性脂肪を摂りすぎると大腸がんや乳がんにかかるリスクが高くなるので、動物性脂肪(特に保存肉、加工肉)を取り過ぎないようにします。一方、がんのリスクを減らす食品もあり、特に緑黄色野菜を多く摂ると胃がんや大腸がんなどのリスクが減るので、緑黄色野菜を摂る量や摂る頻度を増やすことをおすすめします。

 

飲酒もがんと強く関係 一日の適量は?

 それから飲酒もがんと強く関係しています。特に多量の飲酒がとても体に悪く、口腔がん、咽頭がん、食道がん、肝臓がん、乳がんなどにかかりやすくなることがはっきりわかっています。一日の飲酒量は、日本酒であれば1合程度、ビールであれば500ml程度が適量です。

 なお、お酒を飲んで赤くなる方は、アルコールを代謝する際に生じる発がん性物質(アセトアルデヒド)がたまりやすくなるため、発がんのリスクが非常に高くなります。このような体質は遺伝であって訓練で強くなります。このような体質は遺伝であって訓練で強くなるものではありませんから、飲酒はできるだけ控えた方がよいでしょう。

 

②喫煙

自力で禁煙が難しい方は、禁煙外来の受診を

 食事の次に大きな原因は喫煙で、喫煙本数が多くなればなるほど肺がんにかかるリスクが高くなります。肺がんだけでなく、口腔がん、咽頭がん、喉頭がん、膵臓がんなど多くのがんのリスクにもなります。

 喫煙年数が長いほど、また、喫煙開始年齢が若いほどがんのリスクが高くなるので、できるだけ早い段階で禁煙した方がよいでしょう。自力で禁煙が難しい方は、禁煙外来を受診されることをおすすめします。とても楽に禁煙に成功する方が多くいらっしゃいます。

 

③健康診断

予防の健康診断による病気の早期発見、早期治療、すなわち二次予防

 生活習慣を良くしても予防しきれない病気も当然あります。そこで、予防の第二段階として、健康診断による病気の早期発見、早期治療、すなわち二次予防が必要になってきます。健康診断でどの程度、早期がんが発見されるのでしょうか。私の施設では、例えば胃がんは70%以上がIA期という極早期で見つかっています。IA期であれば内視鏡的に切除することができるものも多くなり、体への負担が少なく、入院期間を短くすることも期待できます。

 

健診によって早期に発見される可能性は高い

 一般的に、定期的に胃カメラを受けている方では、9割以上が早期がんで見つかります。一方、健診ではなく、症状があって病院を受診する場合は、およそ半数が進行がんになっています。胃がんを例とりましたが、乳がん、肺がん、大腸がんなども健診を受けることによって早期に発見される可能性が高くなります。

 

④生活習慣

早期に対応すれば、合併症の予防や、進行を遅らせることが可能

 心筋梗塞や脳卒中の発症には、高血圧、糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病が深く関わっています。これらの予防には、Aのことに留意することが重要です。また、生活習慣病の有無のチェックに健康診断を欠かすことはできません。

 生活習慣病は、それだけでは自覚症状は全く無く、気付くとすれば進行した状態になってからということになります。ですから、健康診断で早期に発見し、早期に対応することが大事になってきます。早期に対応すれば、合併症を予防できたり、進行を遅らせたりすることが可能です。対応としては、Aで述べた生活習慣に注意することが基本ですが、Bの項目についても個別に判断する必要があります。

A 生活習慣の注意点

・肥満にならない

・野菜を多く摂る

・塩分や糖質を摂りすぎない

・脂質は量と種類に注意する

・飲酒は控えめにする

・適度な運動を行う

・喫煙している方は禁煙する

B 生活パターン

・性別      ・年齢      ・肥満の有無      ・勤務形態

・食事の好み   ・嗜好品     ・活動量        ・運動習慣の有無

・趣味      ・生活習慣病の種類  など

 

特定保健指導等のご利用を

 また、肥満のある方では、体重をコントロールするためにカロリー計算も必要になってきます。このような、一人ひとりに合った生活習慣のアドバイスは、特定健診で所見が複数あった方に実施される特定保健指導等により、専門職から詳しく聞くことができます。ぜひ、このような機会をご利用されることをおすすめします。

 

 

 

社会福祉法人 聖隷福祉事業団

聖隷健康診断センター

所長 武藤 繁貴 

 

 

 

 

WEBワライフ「社会福祉法人 聖隷福祉事業団 保健事業部 健康コラム第2回 がんで亡くなる方が増えています」

 

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