認知症とは?~認知症の基礎知識~
お住まいの地域の防災無線等で、行方のわからなくなった高齢者の情報を求める放送を聞いたことがある方も多いと思います。認知症の方の徘徊、また認知症が原因と思われる交通事故、さらには認知症を患ったご本人や家族の悩み苦しみなど、「超高齢化社会」を向かえ、「認知症」は大きな社会問題となっています。
身内に認知症の方がいる方は、ご本人やまわりの人たちのご苦労をはじめ認知症のことをご存知だと思います。しかしまだ「認知症=アルツハイマー」ととらえる方も少なからずいるのではないでしょうか。今回は厚生労働省のホームページをもとに「認知症の基礎知識」とサポート施策をご紹介します。
認知症の症状
脳は私たちのあらゆる活動をコントロールしている司令塔です。指令がうまく働かなければ、精神活動も身体活動もスムーズに運ばなくなります。
認知症とは、いろいろな原因で脳の細胞がしんでしまったり、働きが悪くなったためにさまざまな障害が起こり、生活するうえで支障が出ている状態(およそ6ヶ月以上継続)をいいます。
認知症の症状として、「中核症状」と「行動・心理症状」があります。 なお、「行動・心理症状」には周囲から見ると、「徘徊」や「妄想」も本人なりの背景や理由があると言われています。
主な行動・心理症状
徘徊 外に出て行き戻れなくなる
妄想 物を盗まれたなど事実でないことを思い込む
幻覚 見えないものが見える、聞こえないものが聞こえるなど
暴力行為 自分の気持ちをうまく伝えられない、感情をコントロールできないために暴力をふるう
せん妄 落ち着きなく家の中をうろうろする、独り言をつぶやくなど
抑うつ 気分が落ち込み、無気力になる
人格変化 穏やかだった人が短気になるなどの性格変化
不潔行為 風呂に入らない、排泄物をもてあそぶなど
中核症状
記憶障害 物事を覚えられなくなったり、思い出せなくなる。
理解・判断力の障害 考えるスピードが遅くなる。家電やATM などが使えなくなる。
実行機能障害 計画や段取りをたてて行動できない。
見当識障害 時間や場所、やがて人との関係が分からなくなる。
認知症の種類(主なもの)
認知症のうち、半数以上はアルツハイマー型認知症です。次に多いのが脳血管性認知症、そしてレビー小体型認知症と続きます。これらは「三大認知症」といわれ、全体の約90%を占めるといわれます。
アルツハイマー型認知症
脳内にたまった異常なたんぱく質により神経細胞が破壊され、脳に萎縮がおこります。
症状 昔のことはよく覚えていますが、最近のことは忘れてしまいます。軽度の物忘れから徐々に進行し、やがて時間や場所の感覚がなくなっていきます。
脳血管性認知症
脳梗塞や脳出血によって脳細胞に十分な血液が送られずに、脳細胞が死んでしまう病気です。高血圧や糖尿病などの生活習慣病が主な原因です。
症状 脳血管障害が起こるたびに段階的に進行します。また障害を受けた部位によって症状が異なります。
レビ-小体型認知症
脳内にたまったレビ-小体という特殊なたんぱく質により脳の神経細胞が破壊されおこる病気です。
症状 現実にはないものが見える幻視や、手足が震えたり筋肉が固くなるといった症状が現れます。歩幅が小刻みになり、転びやすくなります。
前頭側頭葉型認知症
脳の前頭葉や側頭葉で、神経細胞が減少して脳が萎縮する病気です。
症状 感情の抑制がきかなくなったり、社会のルールを守れなくなるといったことが起こります。
認知症の人に対する対応の基本
認知症の症状や状態、環境などによって、認知症の人が希望することや必要な支援は異なります。認知症の人は、意思も・経験も あります。認知症の人の見ている世界を理解することが大切です。
認知症の人 に 聞いてみる。
認知症の人 の 話を想像する。
認知症の人 に 現状を伝えてみる。
認知症の人 の 反応をみる。
認知症の人 が どのように思うか聴いてみる。
認知症の人 に どのようにするか相談する。
「もしかしたら…」と思ったら早めに専門医へ
どのような病気でもご家族やまわりの人たちの理解と協力は必要ですが、特に認知症の場合、ご本人だけでなく一緒に暮らすご家族の病気への理解と対応の仕方が重要です。
残念ながら認知症の治療薬として確立されたものはありませんが、早期であれば投薬により進行を遅らせることが出来る場合もあります。また認知症の方への対応の仕方によって、その症状は変わってくるとも言われます。認知症への理解が不十分で、誤った応対により症状を悪化させてしまうこともあります。
早期に適切な治療を
どんな病気でもそうですが、認知症も発見が早いほど治療は効果的です。専門医を受診し、認知症なのかどうかを診断してもらい、適切な治療を受けることが、ご本人にも、ご家族にも大切です。ご家族の方で認知症が疑われる方がいたら、迷わず専門医を訪ねてください。
ただ認知症が疑われ、一緒に暮らすご家族は早く病院に連れていきたいと思っても、ご本人に自覚症状があれば別ですが、ご本人が診察を嫌がることもあります。その場合、認知症の専門医は、ご本人がいなくてもご家族の方だけでの相談にのってくれるところも多くありますので、病院に問い合わせてください。
認知症サポーターとは
今後、認知症の人の増加が見込まれる中で、認知症の人が認知症とともによりよく生きていけることができるよう環境整備が必要です。 このため社会全体で認知症の人を支える基盤として、「認知症」を正しく理解した上で認知症の人や家族を暖かく見守り、支援する応援者として認知症サポーター養成を進めています。
○「認知症サポーター」は何か特別なことをするのではなく、できる範囲で手助けを行うというもので、活動は任意です。
○「認知症サポーター」になるには「認知症サポーター養成講座」の受講が必要になります。
○ 地域住民、金融機関やスーパーマーケットの従業員、小・中・高等学校の生徒など様々な方が受講、全国に約880万人(平成29年3月末現在)の認知症サポーターが誕生しており、地域でできることを通して、地域における相互扶助・協力・連携、ネットワークをつくる等の活躍が期待されています。
認知症サポーターにご関心がある方は
全国の自治体事務局一覧 (全国キャラバン・メイト連絡協議会HP)
認知症サポーターに期待されること
とくに認知症サポーターには何かを特別にやってもらうものではありません。認知症を正しく理解してもらい、認知症の人や家族を温かく見守る応援者になってもらいます。
そのうえで自分のできる範囲で活動できればいいのです。たとえば友人や家族にその知識を伝える、認知症になった人や家族の気持ちを理解するよう努める、隣人あるいは商店・交通機関等、まちで働く人として、できる範囲で手助けをする、など活動内容は人それぞれです。
「オレンジリング」って知ってますか?
サポーターの中から地域のリーダーとして、まちづくりの担い手が育つことも期待されます。なお、認知症サポーターには認知症を支援する「目印」として、ブレスレット(オレンジリング)をつけてもらいます。この「オレンジリング」が連繋の「印」になるようなまちを目指します。
厚生労働省HP認知症とは 「認知症の基礎~正しい理解のために」より