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「ひきこもり」について②

「ひきこもり」…どうすればいいの?

 ひきこもりにはストレスが大きな原因になっていることを「『ひきこもり』について①」でお伝えしました。ではの原因となったストレスを突き詰めて解消すればよいのかというと、必ずしもそうではありません。なぜなら原因はわからないことが多く、思い当たることがあってもいくつかの要因が絡み合っていたり、決定的な原因かどうかはわからないことが多いからです。そして、「これだ」という原因が思い当たったとしても、過去にさかのぼって取り除くことは困難です。大切なのはこれからどのようにしていくことができるかです。

 

 「『ひきこもり』について②」では、「愛知県HP『ひきこもり』について」より本人ができそうな工夫、家族の対応のヒントをお伝えします。ご本人やご家族が少しでも不安を和らげ、楽になるための手がかりになればと思います。

 

 

ご本人へ

 ひきこもる毎日は、あなたにとって、つらく、なぜこうなってしまったのだろうとか、何とかしなくてはとか、自分はだめな人間だとか、いろいろと悩むことがあるかもしれません。

 このページを読もうと思ってくださったあなたは、現在の状況を変えていきたいと願っているのではないでしょうか。もし、できそうなことが一つでも見つかったら、勇気を出して、行動に移してみませんか。

(1) 自分に対する考え方を変えてみましょう。

 「自分はだめな人」「何もできない人」などと自分を否定したり、責めたりしていませんか?過去に傷ついた経験があると、よけいに否定的な気持ちを持ちやすくなります。あなたの回復を妨げるような否定的な考えにとらわれすぎず、今の生活の中でよかったことを見つけたり、これからどうしていくかを考えることも、とても大切なことです。

 

 例えば、「今夜は面白そうなテレビがある。」「あの漫画の続きが読みたい。」そう考えるだけでも、少し前向きなあなたがいるのです。1日の中で「悩んでいたことを少しの間忘れることができた」「ちょっと気が軽くなった」という感覚をみつけてみませんか。

 

(2) 自分なりの生活リズムを見つけてみましょう。

 ひきこもっていると、生活リズムに乱れが生じてくることがあります。こころが沈みがちな時には、身体のリズムも崩れやすいものです。

 昼間は、ひきこもっている自分とまわりとを比べてつらくなってしまい、夜の方が少しは楽に過ごせることがあります。また、人間の体内時計は25時間程度の周期だといわれており、時間を気にしない生活を続けていると昼夜逆転になりやすいものです。あなたが昼夜逆転の生活で落ち着いて過ごせるのであれば、無理して直そうとする必要はないでしょう。でも、皆が寝静まった夜の時間に一人で考え事をして、孤独や不安が起こってくることもあります。

 

 身体のリズムが戻ってくると、こころの元気も戻りやすくなります。もしあなたが、朝型の生活に戻したいと思ったら、食事の回数、寝る時間を一定にするなど、自分なりのパターンをつくってみるとよいかもしれません。また、朝日を浴びることで体のリズムが変化するので、目覚まし時計をかけたり、カーテンを少し開けて朝になると部屋が明るくなるようにすることも役立つかもしれません。少しずつリズムを取り戻していけるとよいでしょう。

 

(3) いらいらを抑えきれないときは、一歩引き下がってみましょう。

 自分でもどうしようもないもどかしさや苛立ちを感じて、家族にぶつけてしまうことはありませんか。言葉だけでなく、身体的な暴力が起こってしまうこともあるかもしれません。暴力はエスカレートしやすく、自分も相手も傷つき、よけいに関係がこじれてしまいます。こうした行動をやめたいと思えたなら、それはあなたが自分の本当の気持ちに気づくことができたサインです。あなたの目的は相手を傷つけることではないはずです。

 

 もし、あなたが暴力をふるいそうになったら、一旦その場から立ち去ってみましょう。その場を立ち去ることは、決して逃げることではなく。勇気ある撤退といえます。家族にその場を離れてもらうこともよい方法です。家族に暴力を向けなかった自分を褒めてあげてください。そして、少し落ち着いてから自分の気持ちを言葉で伝えたり、うまく伝えられない場合は手紙に書いたりするのもよいでしょう。

(4) 第三者の力も利用してみましょう。

 はじめはストレスを避けるためであったひきこもりも、しだいに神経の疲れがたまり、落ち着かない、気力がわかない、どんどんマイナス思考になってしまうなどの状態に陥ることがあります。こうしたとき、自分自身で解決しようとしないで、精神科や心療内科に相談し、カウンセリングや薬の助けを借りることができます。

 

 

 また、保健所や精神保健福祉センターでは、ひきこもりの相談窓口を設けています。第三者に相談することで、アドバイスが得られたり、話すことで気持ちが楽になることもあります。あなたの状況に応じて様々な相談方法があり、どれが合うのかは人によって違います。利用できるものは試してみようというつもりで、気軽に相談してみてはいかがでしょうか。

(5) 自分自身を受け入れてあげましょう。

 ひきこもったことは、決して恥ずかしいことではありません。何らかの理由で周囲の環境に適応できなくなった時にひきこもるということは、誰にも起こりうることです。もし、あなたが、自分を責めたり否定してしまっているとすれば、それは自分自身を受け入れることができていないのかもしれません。

 

 

 

 生まれてから今まで、さまざまなあなたらしさを育んできたことと思います。一見短所にみえることでも、見方を変えると自分を守るものであったり、長所や個性と思われることがあります。例えば、人見知りは「遠慮深い」。すぐに悩むことは「思慮深い」と捉えることで、ずいぶん感じが変わってきます。

 長所も短所も含めて、かけがえのない自分です。まずはあなた自身が、あなたらしさを受け入れてあげてください。そして、大切にしてください。

 

 

 ご家族の方へ

 ある日突然、子どもがひきこもってしまったら・・・。

 ご家族にとっては、なぜなのか分からず、ずいぶん悩まれてきたことと思います。けれど、過去に原因を探したり、ご自分を責めたりしても解決にはつながりません。ひきこもりは何か一つの原因によるものではなく、さまざまな要因が複雑に絡み合って生じてくるものです。子育てにおいて問題と思われる事柄は、どの家庭でもいくつかはみつかります。ひきこもりの問題が起こる家庭に、何か特別な理由があるわけではないのです。ひきこもりは、どの家庭にも起こりうる問題であり、それゆえに社会問題となっているのです。

 

 過去の「犯人捜し」にエネルギーを費やすよりも、これからどうしたらよいかという「未来のこと」に意識を向けましょう。ひきこもっているご本人にとって、多くの場合、身近にいるご家族だけが、関わったり話したりする唯一の存在であり、ご家族の役割はとても大切なものとなります。

 

(1) 安心できる雰囲気作りを心がけましょう。

 ひきこもりは、ご家族からみて「甘え」や「怠け」にみえることがあるかもしれません。しかし、ご本人は、ひきこもっていることで苦しみ、家族から見捨てられるのではと不安や悩みを抱えていることが多いのです。ご家族の何気ない一言で、ご本人は責められているように感じたり、逆に過剰な愛情や励ましが、ご本人へのプレッシャーとなり、かえって状況を悪化させることがあります。

 

 焦って干渉したり、何かをさせようとはせず、まずはご本人のつらさや苦しさを心にとめ、適度な距離をとって、ご本人もご家族もリラックスして過ごせる環境をつくっていきましょう。

 

 

(2) 家族自身が生活を楽しみましょう。

 ひきこもりの問題は、ご本人だけでなくご家族にも大きな影響を与えます。ご本人のことで頭がいっぱいになってしまうと、心も体も疲れ果て、気持ちの面でも生活の面でも社会から孤立しがちになります。そのような状態でご本人を支えることはとても大変です。家庭内で神経を使いすぎ、緊張が強い状態では、ご本人もご家族もストレスを感じることでしょう。

 

 

 ご本人がリラックスできる環境をつくるためには、ご家族それぞれが自分の生活を楽しみ、ゆとりをもつことが大切です。ご本人が苦しんでいるのに、自分だけ楽しむのは気がひけるという方もいるかもしれません。しかし、ご家族が疲労困ぱいし、社会から孤立しがちになると、家庭内が行き詰まってしまいます。まずは、ご家族自身が積極的に外へ出て、日々の生活を楽しまれてはいかがでしょうか。家庭内の緊張が和らぐことで、解決の糸口につながるかもしれません。

 

(3) 家族だけで抱え込まずに、相談窓口を上手に利用しましょう。

 ひきこもりの問題では、ご家族が強いストレスを感じて、精神的に不安定になっつたり、気分が落ち込んだりすることがよくあります。また、世間の目を気にして隠そうとしたり、誰にも相談せずに解決しようとすることで、ご家族だけで困難を抱え込んでしまいがちです。その結果、かえって家族が社会から孤立したり、これまでどおりの生活をしずらくなったり、ひきこもりを長引かせてしまうことが多くあります。

 

 

 ご家族自身が楽になるために、他の人や専門家に相談することも大切です。「本人が行かないのに、家族だけ相談に行っても・・・」とためらう方もいるかもしれませんが、自分だけで心配ごとを抱え込む負担は大変なものです。疲れきってしまうと、よい考えが浮かばず、身動きがとれなくなってしまいます。

 誰かに話すことでこころが軽くなったり、少し違った見方ができるようになるかもしれません。また、相談することでアドバイスが得られたり、勇気づけられたりすることもあります。まずは気軽に相談に行ってみてはいかがでしょうか。保健所や精神保健福祉センターにはひきこもりの相談窓口があります。ぜひご利用ください。

 

 

ひきこもり対策推進事業とは

 厚生労働省では、従来から、精神保健福祉、児童福祉、ニート対策等において、ひきこもりを含む相談等の取組を行ってきましたが、平成21年度からは、これらの取組に加え「ひきこもり対策推進事業を創設し、ひきこもり対策の一層の充実に取り組んでいます。

 この事業は、次の2つの事業から構成されています。

(1)ひきこもり地域支援センター設置運営事業(平成21年度~)

 ひきこもりに特化した専門的な第一次相談窓口としての機能を有する「ひきこもり地域支援センター」を都道府県、指定都市に設置し運営する事業です。

 このセンターは、ひきこもりの状態にある本人や家族が、地域の中でまずどこに相談したらよいかを明確にすることによって、より適切な支援に結びつきやすくすることを目的としたものであり、本センターに配置される社会福祉士、精神保健福祉士、臨床心理士等ひきこもり支援コーディネーターを中心に、地域における関係機関とのネットワークの構築や、ひきこもり対策にとって必要な情報を広く提供するといった地域におけるひきこもり支援の拠点としての役割を担うものであります。

 

(2)ひきこもりサポーター養成研修、派遣事業(平成25年度~)

 この事業は、ひきこもりの長期、高齢化や、それに伴うひきこもりの状態にある本人や家族からの多様な相談にきめ細かく、かつ、継続的な訪問支援等を行うことを目的とする事業です。

 具体的には、各都道府県、指定都市において訪問支援等を行う「ひきこもりサポーター」(ピアサポーターを含む。)を養成し、養成されたひきこもりサポーターを地域に派遣し訪問支援等を行うものであります。

厚生労働省 ひきこもり対策推進事業

 

相談窓口など

 「ひきこもり」に関してもう少し詳しい情報が必要な方は、以下のホームページ等をご参照ください。

厚生労働省 地域精神保健活動のガイドライン

「ひきこもり地域支援センター」の設置状況リスト

厚生労働省 ひきこもり対策推進事業

愛知県「ひきこもり」について

愛知県精神保健福祉センター ひきこもり

厚生労働省 社会的孤立に対する施策について 

○お住まいの保健所や精神保健福祉センターなど

 お住まいの地域の保健所や精神保健福祉センターでも、ひきこもりに関する相談を受け付けています。本人が相談に行くことが難しい場合も多くありますが、その時はご家族だけでも相談されることが大切です。心配事を自分たちだけで抱えている負担は大変大きいものです。まずは話してみるだけでも、気持ちが少し楽になることがあります。是非、ご相談ください。

 

 

 

出典

愛知県「ひきこもり」について

愛知県精神保健福祉センター ひきこもり

厚生労働省 社会的孤立に対する施策について 

 

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