発達障害とは?~発達障害の基礎知識~①
4月2日は何の日?
4月1日の翌日、日本では年度がわりで忙しい時期ですが、実は毎年4月2日は国連で定めた「世界自閉症啓発デー」です。ご存知の方は少ないのではないでしょうか。
2007年12月の国連総会において、全世界の人々に自閉症を理解してもらう取組を進めるため、毎年4月2日を「世界自閉症啓発デー」(World Autism Awareness Day)とすることが決議されました。また日本では、この日から8日までを「発達障害啓発週間」として、発達障害への理解促進のための啓発活動を行っています。
まだまだ誤解されがちな「発達障害」
「発達障害=アスペルガー」「アスペルガー=KY」って思っていませんか?
「アスペルガー症候群」をはじめ「自閉症」「発達障害」の単語を耳にすることも多くなっています。しかしそれらを正しく理解している人ばかりではありません。発達障害にかかわる言葉は一般化してきましたが、どうしてそうなるのか、どういう特性があるのか、どういう対応をすればいいのかなど、よくわからないこともあると思います。
少し前「大人の発達障害」が話題となりました。「アスペ」という言葉が流行語のように飛び交い、何かあれば「彼女、アスペなんじゃない」と軽々しく発せられることに違和感をおぼえた方もいるのではないでしょうか。実際にその障害を持つ人にはどう聞こえたことでしょう。
「発達障害=アスペルガー」、「アスペルガー=KY」という思い込みを持たれている方もいるかもしれません。さらには、「自閉症」を「常に自分の殻に閉じこもっている」と考えられたり、「親の育て方が冷たかったということが原因ではないか」と思われたりする方もいるのではないでしょうか。それは決して正しくありません。
真面目にやっているのに、誤解され悩んでいる人も
脳の発達の仕方の違いから「他の人の気持ちや感情を理解すること」「言葉を適切に使うこと」「新しいことを学習すること」などが苦手であり、一般的な「常識」と思われることを身につけることも苦手です。このため、真面目に取り組んでいても、誤解されることがあります。偏見や誤解により、いじめの対象になったり、二次障害(※WEBワライフ「発達障害とは?~発達障害の基礎知識~②」の「用語解説」の項をご参照ください。)をおこすこともあります。
平成16年12月発達障害者支援法が成立
平成16年12月発達障害者支援法(下記をご参照ください)が成立するなど、「発達障害」に対する捉え方も大きく変わってきました。学校では発達障害を持つ児童・生徒への対応もすすんできています。知識のある専門の教員を配置するなどして、発達障害者への教育に取り組んでいます。
「自閉症」や「発達障害」という言葉が一般的に広まっていなかった頃も、落ち着きがなく授業妨害をするような子やなかなか意見や考えが言えない子はいました。そういう子はややもすると『異端視』され、いじめや差別の対象になることもありました。そうした子の中には「発達障害」を持った子もいたのではないでしょうか。「発達障害」という言葉が一般的に広まっていなかった頃、適切な指導や対応がされず辛い思いをし、苦しんでいた子もいたことでしょう。
時代とともに「発達障害」についての理解が広がり、捉え方も変わってきました。しかしまだ偏見や誤解が残っているのも事実です。
「発達障害」をより理解していただくために
今回は「発達障害」についてより知っていただくため「発達障害とは?~発達障害の基礎知識」をテーマとして取り上げました。「政府広報オンライン 発達障害って、なんだろう?」をもとにお伝えします。
このWEBワライフでも「外見上はわからない場合でも、障害によって困っている人がいます!」で発達障害など見た目ではわからない障害を持つ人の応対について取り上げました。今回はそもそも「発達障害」とは何なのか、どんな特性を持ち周りはどう対応すればいいのか、さらには相談窓口などを取り上げました。「発達障害」についてより理解していただければと思います。特に「自閉症」や「発達障害」という言葉が、まだ一般的ではなかった時代に学校を卒業した世代の方たちはぜひご一読をくださればと思います。
発達障害とは?
親のしつけや教育の問題ではなく、脳機能の障害によるもの
発達障害は、脳機能の発達が関係する障害です。発達障害がある人は、コミュニケーションや対人関係をつくるのが苦手です。また、その行動や態度は「自分勝手」とか「変わった人」「困った人」と誤解され、敬遠されることも少なくありません。それが、親のしつけや教育の問題ではなく、脳機能の障害によるものだと理解すれば、周囲の人の接し方も変わってくるのではないでしょうか。
発達障害のある人を理解するために、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害など、主な発達障害の特徴を紹介します(WEBワライフ「発達障害とは?~発達障害の基礎知識~②」でお伝えします)。なお、発達障害は、複数の障害が重なって現われることもありますし、障害の程度や年齢(発達段階)、生活環境などによっても症状は違ってきます。発達障害は多様であることをご理解ください。
※すべての人にすべて共通する症状があるわけではありません。また以下の図のように、障害が重複していることも多くあります。発達障害の症状はそれぞれ違うことをご理解ください。
主な発達障害の特徴をWEBワライフ「発達障害とは?~発達障害の基礎知識~②」でお伝えします。
どれくらいの割合で発達障害の人はいるの?
さまざまな調査がありますが、文部科学省のデータでは
「知的障害者数は74.1万人、精神障害者数は320.1万人、知的障害者数と精神障害者数を合計した394.2万人は身体障害者数 393.7万人と同程度です。また、発達障害者数は、義務教育段階の全児童生徒数1,031万人のうち、6.5%程度(約67万人)と推計されています。(高校生以上の発達障害者数は含まれていません。)【H27障害者白書データ、文科省データ(H24年調査に基づく推計値)】」
近年の調査では、発達障害の特徴をもつ人は稀な存在ではなく、身近にいることがわかってきました。
発達障害者支援法に基づいた取り組みがスタート
平成17年4月より発達障害者支援法に基づいた取り組みがスタートしています。 発達障害者支援法では、これまで制度の谷間におかれていて、必要な支援が届きにくい状態 となっていた「発達障害」を「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障 害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの」と定義し、支援の対象と なりました。
この法律は、「発達障害」のある人が、生まれてから年をとるまで、それぞれのライフステージ(年齢)にあった適切な支援を受けられる体制を整備するとともに、この障害が広く国民全体に理解されることを目指しています。
長年にわたって福祉の谷間で取り残されていた発達障害者の定義と社会福祉法制における位置づけを確立し、発達障害者の福祉的援助に道を開くため、
- 発達障害の早期発見
- 発達支援を行うことに関する国及び地方公共団体の責務
- 発達障害者の自立及び社会参加に資する支援
を初めて明文化した法律です。
WEBワライフ「発達障害とは?~発達障害の基礎知識~②」では、主な発達障害の特徴と具体例をお伝えします。