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社会福祉法人 聖隷福祉事業団 保健事業部 健康コラム第2回 がんで亡くなる方が増えています

がんで命を落とす方は増え続けています

 これは日本人の死因別の死亡率の年次推移のグラフを厚生労働省の統計資料より抜粋したものですがこれをみても、がんで命を落とす方は増え続けています。今回はその中でも特に重要な肺がん、胃がん、大腸がんについて見ていきましょう。

 

①肺がん

受動喫煙を含めタバコによる害を最小限に

 肺がんは2015年の時点で日本における死因の第一位であり、最も注目すべき疾患ですが、その予防でなによりも重要なのが喫煙への対策です。

 喫煙率の減少に伴い、近年肺がんの死亡率は減少傾向にありますが未だ十分とは言えず、今後も受動喫煙も含めタバコによる害を最小限にすることが大事です。

 

 

有効性の証明された検診をうけることは、肺がんの早期発見につながる

 国は対策型がん検診として40歳以上の人を対象に年一回の胸部エックス線検査による肺がん検診を推奨しています。また、喫煙量の多い人については低線量胸部CT検診が死亡率減少に有効との海外の報告もあります。このような有効性の証明された検診をうけることは、肺がんの早期発見につながると考えられます。

 

 

 

②胃がん

ヘリコバクター・ピロリ菌の感染の有無が大きく関与

 胃がんは多くの場合その発生にヘリコバクター・ピロリ菌の感染の有無が大きく関与しています。

 ピロリ菌の詳細な感染経路はまだ分かっていませんが、衛生環境がよくなるにつれて感染率は低下するといわれ、若い世代ほどその感染率は低くなっています。ピロリ菌に感染すると、胃の粘膜に慢性活動性胃炎が引き起こされ、それが胃がんの原因となることが今では明らかになっています。

 

内服薬により胃粘膜からピロリ菌を取り除くことで、ある程度胃がんの危険性を減らす

 またピロリ菌の感染が確認された場合であっても、内服薬により胃粘膜からピロリ菌を取り除く(除菌療法といいます)ことで、ある程度胃がんの危険性を減らすことが出来ることも分かっています。感染の有無の確認については血液検査や尿検査、便検査等いくつかの方法がありますが、これらの検査でピロリ菌の感染が認められ、また上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)で慢性胃炎の存在が確認されれば保険診療で除菌治療を受けることが出来ます。

 ただ除菌治療が成功しても胃がんの危険性がなくなるわけではなく、また慢性胃炎の程度が強くなると検査でピロリ菌が陰性となる(胃粘膜にピロリ菌が住めない状態になる)場合もあり、そのような方については定期的に内視鏡検査等で経過観察をすることが大切です。

 国は対策型がん検診において、50歳以上の人について上部消化管エックス線検査あるいは上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)のいずれかを2年に1回受けることを推奨しています。

 ピロリ菌感染のコントロール、及び特にピロリ菌感染による慢性胃炎が認められる方については、定期的な検診が胃がんの予防そして早期発見という点で重要です。

 

③大腸がん

 大腸がんは、2015年の統計では日本人男性のがんの部位別死因の第三位、女性では第一位であり大変重要な疾患です。

食生活や運動といった生活習慣がその予防と大きく関係

 大腸がんについては、食生活や運動といった生活習慣がその予防と大きく関わっています。運動習慣については、定期的に運動することはほぼ確実に大腸がんの危険度を下げるといわれています。

 また野菜や果物の摂取も予防に関与するという報告があり、積極的にとることが勧められています。逆に危険度を上げるといわれているのが赤身肉(牛肉、豚肉等)や加工肉(ハム、ソーセージ等)の過度の摂取です。

 

 

 

高血圧や糖尿病等多くの生活習慣病の原因となる肥満も危険因子

 更に高血圧や糖尿病等多くの生活習慣病の原因となる肥満も危険因子の一つと考えられています。国の対策型がん検診では40歳以上の人について毎年の便潜血検査を推奨しています。また海外では下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ)やCTコロノグラフィーによる大腸がん検診の有効性も報告されています。

 このように大腸がんについては正しい生活習慣の継続と、有効性の証明されたがん検診を受けることが大事です。

 

 

 上記に述べてきたようながんを早期に発見するためには、有効性の証明された定期的な検診の受診が重要です。

 

 

 

 

画像出典元

資料名:がんの統計’15

発行元:公益財団法人がん研究振興財団 2016年3月発刊

 

 

社会福祉法人 聖隷福祉事業団

聖隷予防検診センター

所長   森 厚嘉 氏

 

 

 

 

WEBワライフ「社会福祉法人 聖隷福祉事業団 保健事業部 健康コラム第1回 がん・脳卒中・心筋梗塞の三大疾病について―健康診断の重要性」

 

 

 

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