シニアの知って「得」する国の制度 第29回 年金の「扶養手当」に相当する加算~加給年金額~
「加給年金」という言葉を耳にしたことがありますか?この加給年金額とは、年金の世界での扶養手当のようなものです。当然、「もらえる条件」があり、すべての人が対象になるわけではありません。
どのような人がもらえる?-加給年金額の要件-
まず、大前提として、配偶者がいることです。高校以下の子がいる場合も対象となりますが、高齢になってから高校以下の子がいるということは少ないため、ここでは配偶者がいる場合に限ってご説明します。
配偶者の要件として、
①原則的に65歳未満であること
②同居して生計同一関係があること
③配偶者の年収が850万円未満であること
④厚生年金の加入が通算で20年未満であること
イメージとしては、これに該当するのは専業主婦といったところです。
次に、年金を受ける本人の要件として、
①65歳以上であること
②厚生年金の加入が通算で20年以上であること
「会社員や公務員である夫」が該当するケースが多いです。
どのようなときにもらえる?-加給年金の支給期間と年額-
一番多いケースは、「夫が65歳になってから、妻が65歳になるまで」です。つまり、歳の差の月数分となります。いくつかの例外はありますが、ほとんどこのような形になっています。年額は389,800円となっています。
この加給年金は、夫の年金のうち、厚生年金の「報酬比例」という内訳の額が0円のとき、つまり全額停止のときはもらえません。逆にいえば、ほんの少しでも、その報酬比例という内訳のものが支給されれば、加給年金は389,800円もらえることになっています。
加給年金がもらえない人とは?
最初に述べた通り、すべての人がもらえるわけではありません。そのもらえないケースはいくつかありますが、その中でもよくあるのが、農家などで夫婦ともに厚生年金の加入が20年未満の場合です。また、厚生年金の加入が20年未満の専業主婦である妻が年上の場合も加給年金はもらえません。「夫が65歳から妻が65歳になるまでの間」なので、妻が先に65歳になるご夫婦に加給年金はありません。
もらうための手続きは?
加給年金をもらうための手続きは、多くの場合は年金請求手続きの際、65歳のときのはがきによる年金請求手続きで、加給年金の手続きを兼ねているので、あまり気にすることはありません。加給年金の対象になっているかどうか、実際に加算されているのかなど、気になる方は専門家や年金事務所に相談するとよいでしょう。
さて、次回は加給年金とセットで考えられている「振替加算」についてのお話です。今回のお話で出てきた「厚生年金加入20年未満」が対象になるものです。該当すると思われる人、必見です。