「要配慮者」「避難行動要支援者」とは?②
「『要配慮者』『避難行動要支援者』とは?①」に続き、要配慮者の方の個々の状況に合わせた、日頃の備え、災害発生時、避難の際の留意点などをお伝えします。
出典
・東京都防災ホームページ「災害時要配慮者への支援」
・浜松市ホームページ 防災・消防 など
知的障害のある方と援助者
知的発達に障害のある方のほとんどは、日ごろ家族や施設、学校などの援助、支援のもとで生活しています。しかし、施設などの行き帰りや家に一人でいる時などに災害が起きると、自分で状況を正確に理解したり、危険を判断することができないことがあります。このような時には保護者や家族、地域の皆さんが協力して要配慮者、避難行動要支援者を援助することが必要です。
日ごろの備え
- ●援助する人は災害時の行動を日ごろから繰り返し話して聞かせ、ブロック塀や自動販売機など外での危険な場所も教えておきましょう。
- ●援助する人は部屋の整理整頓をし、安全な場所を確保しておき、家具などの転倒や落下しやすいものは部屋に置かないようにしましょう。
- ●自宅住所や連絡先の書かれた身分証明などを携帯させるようにしましょう。
- ●緊急連絡先やかかりつけの医療機関、服用している薬などを記入した「緊急連絡用カード」を備えておきましょう。
- ●知的障害がある方でも、日常生活には支障のない人から、障がいの重い方まで程度は様々です。地域に住む障がいのある方の保護者や家族と、隣近所の方は、プライバシーに配慮しながら日ごろから交流を持ち、災害時にはどのような支援が必要であるかを話し合っておきましょう。
「緊急連絡用カード」の例
地震などに関連する注意情報が出された時には
- ●自分の身を守る行動や、まわりの状況を判断できない場合があるので、周囲の人は慌てた行動でケガをしないよう声をかけて落ち着かせ、安全なところへ誘導するか、自宅へ帰宅させましょう。
- ●家族などの緊急連絡先がわかる場合には、連絡をしてあげましょう。
災害発生時には
- ●一人で外出している時に地震が発生したら、自分の身を守る行動や、まわりの状況を判断できない場合があるので、周囲の人は声をかけて落ち着かせ、安全な所へ誘導しましょう。
- ●家族などの緊急連絡先がわかる場合には、連絡をしてあげましょう。
- ●知的障害のある方が一人でいる時に危険が迫った場合には、恐怖感を与えないよう、常に話しかけるなどの配慮をしながら緊急保護をしてください。
避難する時は
- ●言葉で理解されない場合は、手を引いて安全な行動ができるよう誘導しましょう。
精神の障害のある方と援助者
日ごろの備え
- ●精神の障がいのある方は、日常生活には支障のない方から、障がいの重い方まで様々です。 家族や援助者は、プライバシーに配慮しながら、災害時には、どのような支援が必要なのか話し合っておきましょう。
- ●災害が発生した時や、通院できなくなった場合の医療的な対処について、かかりつけの医療機関(主治医)から聞いておき、適切な行動がとれるようにしておきましょう。
- ●通常の非常持出し品に加え、日ごろ服用している薬やそのメモを準備しておきましょう。
- ●緊急連絡先やかかりつけ医療機関を記入した「緊急連絡用カード」を備えておきましょう。
地震などに関連する注意情報が出された時には
- ●まわりの状況を判断できなかったり、不安感の強い時には、声をかけたり、見守りをして落ち着かせるように対応しましょう。
- ●動揺が激しい場合には、本人の了解を得て、緊急連絡先に連絡してあげましょう。
災害発生時には
- ●落ち着いて行動するように声かけをしましょう。
- ●動揺が激しい場合には、本人の了解を得て、緊急連絡先に連絡してあげましょう。
避難する時は
- ●孤立してしまうことのないよう、家族や周囲の人と一緒に避難するようにしましょう。
- ●日ごろ服用している薬やそのメモを忘れずに持っていきましょう。
妊産婦、乳幼児のいる親や家族
日ごろの備え
- ●妊産婦のいる家庭では、通常の非常持出し品に加え、脱脂綿、ガーゼ、腹帯、産褥ショーツ、清浄綿及び新生児用品、ティッシュペーパー、新聞紙などを準備しておきましょう。
- ●乳児のいる家庭では、通常の非常持出し品に加え、紙おむつ、おしりふき、清浄綿、ガーゼ、ほ乳ビン(紙コップでもOK)、粉ミルク(※)、ベビーフード(※)、スプーン・フォーク、ミネラルウォーター、抱っこ紐(おんぶ紐)、バスタオル又はベビー毛布、母子健康手帳、おもちゃ、家族の写真、ゴミ袋などを準備しておきましょう。
※アレルギー対応のもの - ●隣近所の方に避難誘導を支援してくれるよう、援助の依頼をしておきましょう。
災害発生時には
- ●自分や乳幼児の安全を確保し、落ち着いて行動するようにしましょう。
避難する時は
- ●妊婦の場合はできるだけ家族や周囲の人と一緒に避難するようにしましょう。
- ●乳幼児は、抱っこ紐やおんぶ紐などを使い、できるだけ両手をあけておくようにしましょう。
保育園児・幼稚園児・小学生や保護者
日ごろの備え
- ●各施設や学校の防災体制を確認しておきましょう。
- ●いざという時の防災行動について日ごろから子どもと話し合っておきましょう。
- ●子どもと一緒に避難所(安全な場所)まで歩くなどして、避難経路を確認しておきましょう。
災害発生時には
- ●慌てさせないよう声かけするなどして、子どもに落ち着いた行動をとらせましょう。
避難する時は
- ●避難する時には、乳幼児は背負い、歩ける子どもははぐれないように手を引くなどしましょう。
避難所では
- ●避難場所での生活は不規則になりがちですが、子ども達の不安定な気持ちを解消させるには、一日も早く規則正しい生活リズムを取り戻すことが重要です。
- ●また、子どもにもできる手伝いをさせる機会を与えることも大きな心のケアの一つです。おもちゃを用意したり遊び場を設けるなどして、乳幼児や子ども達のストレスを和らげる工夫をしましょう。
日本語が不自由な外国人
日ごろの備え
- ●事前に、言語カード、緊急連絡カード、支援内容を記載したヘルプカードなどを作成し、必要な事柄を整理してをおきましょう。
- ●各地域で防災訓練を実施していますので、是非参加しましょう。
地震などに関連する注意情報が出された時には
- ●地震の発生が予知された場合には「警戒宣言」が発令されます。テレビやラジオのニュース、広報車などの情報をもとに必要な対策をとりましょう。
災害発生時には
- ●地震を感じたら、まず身の安全を守りましょう。家に居る時は、慌てて外に飛び出さないで、机の下などに入って揺れがおさまるのを待ちましょう。
- ●火を使っていたら、すぐに消しましょう。
- ●玄関を開けて、逃げ道を確保しましょう。
避難する時は
- ●家を離れる時は、2次災害を防ぐため、ガスの元栓を閉め、電気のブレーカーを切りましょう。
- ●避難する時は、車は使わず、徒歩で避難しましょう。
- ●近所の人と安全を確かめ合い、協力して避難しましょう。
地域での防災対策
支援を必要とする方
日頃から積極的に地域の人たちとの交流の場を作り、必要な支援について理解してもらいます。 また、防災訓練などに参加をするようにして、地域の協力の輪を広げましょう。
地域の皆さん
地域の高齢者や障害のある方たちには、普段から積極的に働きかけて交流を図り、必要な情報を事前に的確に把握し、支援体制を備えることで、いざという時には遠慮なく支援を申し出てもらうよう伝えておきます。
さまざまな配慮が必要な方への理解、日頃からの声かけ及び支援が大切です。
- ●安全対策や、非常持出し品の準備が自分でできない人や家庭には、プライバシーや本人の希望・意思に配慮しながら手伝うように心がけましょう。
- ●単身生活の人へは、警戒宣言が出たことや、避難の指示、周囲の状況などの詳しい情報を伝えるために、日ごろから伝達方法などを決めておくようにしましょう。
- ●隣近所の人と自主防災隊が連携した体制をつくっておき、情報の提供、日ごろの備えの協力、安否確認や避難の手助けなどができるようにしておきましょう。
- ●外見から分からなくても援助や配慮を必要としている方が、周囲の方に知らせる「ヘルプマーク」、周囲の方に妊婦であることを示しやすくする「マタニティマーク」などを身につけている場合には、配慮が必要です。
また、災害時、要配慮者に対する支援は、その状況により対応が異なります。下記をそれぞれの対応の参考にしてください。
高齢者の方へ
・●援助が必要なときは、できるだけ複数の人で対応する。
・●急を要するときは、おぶったり担架で安全な場所へ。
目が不自由な方へ
・●杖を持った方の手はとらず、ひじの辺りにゆっくりとふれて歩く。
・●方向や目の前の位置などは、時計の文字盤の位置を想定して伝える。
耳が不自由な方へ
・●筆談は要点をわかりやすく。
・●手のひらに指先で字を書く方法でもよい。
・●話をするときは、顔をまっすぐ向け、口を大きく動かしゆっくりと話す。
肢体が不自由な方へ
・●気軽に声をかけ、1人で援助が困難なときは、近くの人に協力を求める。
・●車いすは、階段では3、4人で援助する。上がるときは前向きに、下がるときは後ろ向きに。
精神の障害がある方へ
・●日常生活には支障のない方から、障がいの重い方まで程度は様々です。
・●保護者や家族と、プライバシーに配慮しながら、災害時にはどのような支援が必要か話し合っておく。
外国人・旅行者の方へ
・●身振り、手振りで話しかけ、孤立させない。
出典