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障害者施設での「公文式学習」の活用

障害者の施設や医療機関などで公文式学習を導入

 「公文式」という言葉は、聞いたことのない人はほとんどいないくらい浸透していると思います。では…

 地域に根付く「公文式教室」のみならず、高等学校、大学・専門学校や一般企業、さらには障害者のための就労移行支援施設、就労継続支援施設(A型、B型)、知的障害者向け「大学」、フリースクール、医療機関、障害者自立支援施設、特別支援学校などのさまざまな施設で「公文式学習」は導入されていることをご存知ですか。

 今回は障害のある方などが利用する施設での「公文式学習」について取り上げました。

※就労移行支援事業所(用語解説をご参照ください)

 以下「KUMON」ホームページの「施設での公文」をもとに障害者の施設での公文式学習についてご紹介します。

 

はじめに「KUMON」とは、

公文式の特長 ~公文式学習とは

公文式学習とは 解き方を教わるのではなく、自分の力で教材の問題を解く学習法で、
「やればできる」という自己肯定感を育み、
未知の領域にも、自分から挑戦する力を培う。
公文式は、一人ひとりの「可能性の追求」を目指す教育です。KUMON]より

 

では障害者の方の施設や医療機関などで「公文式学習」はどのような成果があるのでしょうか?

自己肯定感の醸成、自立につながる能力UPなど ~期待できる効果

 施設での導入の目的はさまざまですが、学習を通じて得られる学力の向上と自己肯定感の醸成は共通です。

期待できる効果

  1. 集中力や自己肯定感の醸成と積極的な就職活動への貢献
  2. 手順やルールに従って学習することによる働く態度の醸成
  3. 施設職員の個別支援力の高まりとチーム力の強化

 

 実際に公文式の学習を取り入れているところでは、

・暗算力・計算力・読解力などの力を高めるとともに、姿勢・あいさつ・時間厳守・発声・他者への気づかいなど、日常面や規律面の教育にも効果を発揮している例、

・注意力・集中力・持続力・作業力などの自立につながる能力を高めている事例、

などの報告が上がっています。次に実践している方の声をご紹介します。

 

なぜ障害者施設で「公文式」が取り入れられるの?(実践例の紹介)

 障害者の施設で広まっている理由を「公文式学習」を導入している施設の方の声から見ていきます。

①学習でできることが増え、認め・ほめられ自己肯定感を育てる

就労移行支援事業所での声

障害の種類、レベルもさまざま―個人別学習の公文式が合う

 障害の種別もレベルもさまざま、学力もお一人おひとり異なるため、個人別学習の公文式が合うんです。読み書き・計算の力がつき、仕事をするうえで役に立つことはもちろん、それ以上に大切な力もついていると思います。

 

集中・継続・思考が仕事をしていくベースに

 学習により、できることが増え、それが“学ぶ喜び”となります。これが、集中する・継続する・思考するといった力になり、さまざまな仕事をしていくベースになっているはずです。

 

認め、ほめられることが確実に自己肯定感に

 この力はさらに自己肯定感につながっていきました。障害のある方たちは子ども時代の経験や体験から、「どうせボクなんて何をしてもだめ……」といった自己否定感をいだきやすいようですが、学習でできることが増え、それを認め・ほめられることで少しずつですが確実に自己肯定感を育てています。これは、とても重要なことで、これから自分の人生を拓くための基礎になると確信しています。

 

※この事業所で実施している支援プログラムの3つの柱は、・公文式学習、・SST社会生活技能訓練、※用語解説をご参照ください)、・社会貢献活動ですが、公文式教材による学習指導を中心に据えたことで高い就労実績を達成できたということです。

 

②利用者の方から、「のりこえた!」という言葉が

就労支援施設での声

集中度はどんどん深まり、学習が終わったときには頬が紅潮

 日直の方の「今日の公文を始めます。よろしくお願いします」という挨拶の後、学習開始。すぐにそれぞれのペースで、黙々とプリントに取り組まれます。集中度はどんどん深まり、学習が終わったときには頬が紅潮している方もおられるほど。

 

潜在能力を引き出すことが自立につながる

 公文式学習を取り入れて、利用者の皆さんが『学びたい』という気持ちを持っておられたということに改めて気づきました。また利用者の皆さん一人ひとりが元々持っておられた潜在能力を引き出すことが、自立につながると感じています。利用者の方の中からは、「のりこえた!」という言葉がご自身の口から出るくらい手応えを持つ方が生まれてきています。

 

他の取り組みへのペース作り

 準備から挨拶をし、作業をして片付けまでやりきる』という流れで行動できるようになったことは、他の訓練にも活かされています順番を整えたり、整理整頓をしておく力も養われています。時間を意識されるようになったことも、集団で行動できる力につながっています。他に苦手な作業訓練がある方でも、公文は『やりたいこと・やれること』になっているので、取り組まれます。他の取り組みへのペース作りにも役立っています。

 

③能力や特性に合った支援プログラムとトレーニングで、ムリなくでき笑顔も増える

放課後等デイサービス事業所での声

※放課後等デイサービスとは…WEBワライフ「『放課後等デイサービス』って知ってますか?

公文式の学習は、支援プログラムのなかでも大きな存在

 通ってくる子たちは自閉症や発達障害があるので、集団での一斉指導ではなかなか身につかないことが多いと思います。でも、その子の能力や特性をよく見て、それに合った支援プログラムとトレーニングのレベルを設定すると、ムリなくできるようになっていきます。できることが増えて、表情が変わってきますね。笑顔も増えます。公文式の学習は、支援プログラムのなかでも大きな存在だと感じています。算数というか、数字そのものに苦手意識や拒否反応に近いものがあった子でも、教材の学習によって、そういう気持ちがなくなっていきます。

 

強みができれば、弱みもカバー

 一人ひとり顔も性格も、得意なことも不得意なことも違います。不得意なことを練習して克服するという考え方もあるでしょうが、それは周りも、なにより本人がたいへんなのかなと思います。それよりは得意なことを見つけて、そこをどんどん伸ばすほうが気持ち的にもいいし、その子の強みにもなるはずです。

 

大きなマルと100点は、子どもたちの自己肯定感を大きく育む

 強みができれば、弱みもカバーできますし、弱み自体が目立たなくなると思います。その意味では、公文式学習での大きなマルと100点は学力がつくという以前に、子どもたちの自己肯定感を大きく育んでくれています。こうした一人ひとりに合わせた発達支援を親御さんたちと協働でしていくことで、自分に合った進路を見つけたり、一生の仕事を見つけられたりするのだと思います。

 

実践例の紹介はWEBワライフ「障害者施設での『公文式学習』の活用②」に続きます。

 

用語解説

就労移行支援事業所

 就労移行支援事業所は、障害者総合支援法に定められた障害福祉サービスのひとつである「就労移行支援」のサービスを提供します。障害のある方に、仕事をするうえで必要なスキルや能力を身につけるためのさまざまな職業訓練プログラムのほか、面接対策など就職活動全般をサポートします。2006年の障害者自立支援法(2012年改正、2013年に障害者総合支援法)の施行に伴い、それまでの「授産施設」「小規模作業所」(通常の就労がむずかしい障害者のための働く場)のほとんどは、就労そのものの機会を提供する「就労継続支援A型(雇用)・B型(非雇用)」、そして就労に必要なスキルや能力の向上を図るための「就労移行支援」の施設や事業所へと順次移行してきました。

 

SST(社会生活技能訓練)

 「Social Skills Training」の略。「生活技能訓練」とも呼ばれます。社会生活の上でさまざまな困難を抱えるたくさんの人たちのために、対人関係を中心とする社会生活技能のほか、日常生活技能や自己対処能力を高める方法が開発され、現在では、医療機関や各種の社会復帰施設、作業所、矯正施設、学校、職場などさまざまな施設や場面で活用されています。

 

WEBワライフ「障害者施設での『公文式学習』の活用②

 

 

 

 

 

 

 

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