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【医療】趣味や仕事への復帰を目指して!(平成25年初夏号掲載)

神谷氏

趣味や仕事への復帰を目指して!

■リハビリテーションについて考える

一般的に、リハビリテーションといえば、機能回復訓練のことです。いわゆる療法士がマッサージを行ったり、手足を曲げのばししてくれたりするイメージが強いと思いますが、これはリハビリテーションの内容の中のごく一部分です。
リハビリテーションRehabilitationとは、re(再び、戻す)habilis(適した)という言葉から成り立っています。つまり、何らかの理 由で障害がおきても、また再び「人間らしく生きる」ことや「その人らしく生きる」ということが、リハビリテーションの考え方だといわれています。
これまで、リハビリテーションは、病気やけがでおこった障害をなんとかして元の状態に治すために行う訓練のことだというイメージが強かったように思いま す。しかし、障害が残ってしまった場合でも、障害をもちつつ「自分らしく生きる」ことや「頑張って何かをやりたい」といった気持ちをもって生きるよう訓練 を進めていくことが重要だと考えられてきています。
ここで、可知病院のリハビリテーションの特色をご紹介します。
当院では、急性期と言われる時期で脳梗塞や骨折後の手術を終えてこれからじっくりリハビリテーションで訓練を進めていくために入院する、いわゆる回復期と いう時期の入院患者様のリハビリテーションを行っています。また、そのようにじっくり入院のリハビリテーションを行って自宅へ帰られた後、あまり外出をせ ず、転倒を恐れて自宅に引きこもってしまう方も少なくはありません。このように、自宅へ引きこもらず、外出できるように、また自宅や屋外でご自分の楽しみ を、以前のように行えるように、療法士が訪問する訪問リハビリテーションも行っています。一方、自分の力で電車を利用したり、ご家族と外出を目的に通われ る、短時間型通所リハビリテーションも行っています。
その他、入院からだけでなく外来リハビリテーションという形で、痛みの緩和に対するリハビリテーションも行っています。

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■当院の回復期リハビリテーション

通常、病気で手足の動きが悪くなってしまうと、ひたすら「自分で服を着れるように頑張りましょう」と言ったり、「自分でトイレに行けるように練習しましょう」と進める訓練場面が多いのだと思います。
ここで、冒頭であげました「自分らしく生きる」ということに戻ってみましょう。患者さんは、服を着るために頑張り、トイレに行くために本当に頑張る気持ちになれるでしょうか。
いいえ、患者さんは以前のように、「歩いて山に登れるようになりたい」から、「自分で喫茶店に行きコーヒーを楽しみたい」から頑張るのだと思います。当院 では、入院されてその日にまず、「趣味は何ですか?以前の職業は何ですか?」というところから始まります。それは、これから始まるリハビリテーションの中 で最も重要だと考えるからです。私たち療法士に、そう聞かれた患者さんは、とても楽しそうに趣味について説明してくれます。患者さんの方がもちろん、その 趣味については先生なのです。その趣味で使っていた道具や靴など、中にはかなり大がかりな機械などありますが、実際にご家族に持ってきていただき、どのよ うに使っていたのかやっていただくのです。
患者さんの中には、「以前のようにできるわけがない、何をばかげたことをやらせるんだ。私はマッサージさえやってくれればいいんだから」と言われる患者さんもみえます。
確かにばかげたことに思えるかもしれません。しかし好きでずっとやっていたことは、いやでも体は覚えているのです。そこに着目して、できるだけ好きだった ことを思いだしていただきながら進めています。リハビリテーションの手技の中にマッサージはもちろんありますが、それだけでは歩けるようになることは難し いのです。このように、以前のように楽しみたいと思う気持ちと同時に、そのタイミングで以前行っていたことをとことん頑張ること。これこそが当院で考える リハビリテーションなのです。
趣味を通じたケースばかりではありません。職業については、もちろんどんな動作であったか、道具を使っていたかだけでなく、1日の時間配分はどうだったか も重要なのです。動作自体が可能であっても、以前のように1日の仕事で拘束される生活に戻れるかも訓練が必要なのです。もちろん職場の上司・同僚の方の支 援もいただきながら進めていきます。
リハビリテーションを進める上で、もう1つ重要だと考える点はご家族の役割です。
ある患者さんは長年1人で農業をされており、事故で手足を動かしにくくなりましたが、それでも訓練で杖を使って歩けるまで回復しました。そんな中ご家族は 「歩かなくていいんです。命があってくれただけでも奇跡だと思っているので、退院したらじっと家にいて何もせずのんびりすごしてほしいんです」と言われま した。とても温かいご家族だと思います。ですが、ここで少し考えてみたいのです。この患者さんは、自宅に帰って何もせずただ生きているだけで楽しいでしょ うか?それがいきがいと思えるでしょうか?むしろ、家に帰って「もっと畑にでて、耕すことを手伝って!」と言われた方が、頑張る次の一歩に進めるのではな いでしょうか。
当院で訓練を進める中で感じることは、このように、家に帰ってからの「自分の役割」があることの大切さ、その役割に向かって頑張っていただくこと。そう考えられるよう、ご家族の協力が重要だと感じます。

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■当院の外来リハビリテーション

退院された後も、しばらくリハビリテーションで経過をみさせていただき、自宅での生活を通しておこった手足の動きの変化や痛みについても対応させていただいております。
入院中は毎日長い時間のリハビリテーションを行っていますが、家に帰るとそれを自分で行なわなければなりません。当院では、家に帰ってからも今の筋力を落 とさないよう、自分でトレーニングが行えるか入院中から指導させていただいております。家に帰ってから筋力を落とさないようにすることが重要なのです。
外来リハビリテーションでは、これがきちんと行われているかを確認することも重要な目的と考えます。

■当院の訪問リハビリテーション

退院後、実際に家でどのようにすごし、外出へつなげられているか。また楽しみを継続できているか療法士がご自宅へうかがい実際に指導させていただいています。
時には、自分で近くのスーパーへ買い物に行けるか?自分で庭にでて好きな花の世話ができているか?どれも、家に引きこもらず外出へ目がむけれるよう進めています。

■当院の短時間型通所リハビリテーション

障害がある方が次の目標として、「自分で通院する」ことを目標に、電車などを使ってこられます。 時間帯ごとに、決まったお仲間もでき、とても和気あいあいと楽しく体を動かしてリハビリテーションを行っておられます。
患者さん自身が、何のために訓練を行っているのか十分に理解していただくことが重要であり、そのために私たち療法士は全力をつくすのだと思っています。 「~を楽しむために家に帰りたい」と、障害がおこってすぐの時期に、なかなかそんな気持ちになれない方が多いのは当然だと思います。
私たちは、そのような患者さんに日々、熱い思いが届くよう、これからもくり返しくり返し説明していきたいと思います。

平成25年4月1日より回復期リハビリテーション病棟60床へ増床し、またリハビリテーションスタッフ数(大崎整形リハビリクリニックスタッフ含む)もさらにパワーアップします。
理学療法士33名、作業療法士14名、言語聴覚療法士6名、音楽療法士1名、アシスタント6名となり、患者様へより満足していただける訓練を行える体制となっております。

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