【医療】地域医療連携とは?医療機関を適切に効率的に使用する方法(平成24年12月号掲載)
地域医療連携とは?医療機関を適切に効率的に使用する方法
■大別して病院には3つの形態。急性期、回復期、維持期…
私は地域において病院というものがどうあるべきか考えます。病院(診療所も含め)は大きく分けて三つの形態を有していると思われます。一つは大学病院や市民病院などの総合病院(以下、「中核病院」という)です。
これは、病期で分けると急性期を主に治療する場として考えて良いでしょう。また、高度な治療を行う場所としてとらえて良いと考えます。
そして、二つ目は回復期病院。これは、急性期を過ぎて在宅に復帰するにあたり、まだ、治療が必要な場合入院してリハビリテーションと共に治療を行う場所としてとらえて良いと思います。
そしてもう一つは維持期の治療を行うまたは、軽度から中等度の病気を治療検査をする病院または診療所などです。医療機関におけるこの特性をしっかりと把握することで、より効率的により良い治療が受けられるはずです。
なぜこのように分けなければならないか?と疑問に思われますよね。それは例えば、「行けばなんでも診てくれる病院」、「治るまでゆっくり入院できる病院」という地域のみなさまの希望があると思います。すると地域の中核病院(市民病院等)へ患者が集中してしまいます。
軽傷や軽い風邪症状の患者から、高度な治療や手術が必要な患者、長期的な入院が必要な患者、リハビリや介護療養が必要な患者、そして、24時間対応が必要な救急患者などすべてを受け入れなくてはいけません。
この地区だけではなく全国的(特に地方の医療機関)にみてこの傾向が強く、医師や看護師、専門技師をはじめ、さまざまな医療従事者への負担が大きくなっています。
地域の中核病院へ患者が集中することにより、病院が持っている最適な医療サービスを提供できなくなっています。極端に言うと医療事故の発生が増えるわけです。
また、医療従事者への過度な負担増は、医師や看護師などの離職の要因となっています。そして、医療従事者の不足は、病院の破綻につながり、最悪のケースでは地域医療の崩壊を招きます。
■東三河でも深刻な問題に適切な医療を適切な場所で
大げさに言うと中核病院で救急患者や重症患者の受け入れが出来なくなるということです。これは、この東三河でも他人事ではなく深刻な問題なのです。そこで適切な医療を適切な場所で受ける必要があるわけです。
例えば①右手が急に動かなったらまず近くの診療所へ行きます。②脳卒中の疑いがあり中核病院へ紹介を受けます。③入院して検査治療を受け、④落ち着いたらなるべく早期に回復期病院へ紹介してもらい、⑤早期退院して、また近くの診療所で定期的に見ていただく。
これが地域医療連携です。また地域医療連携は、国より推進されており特に疾患別で進められております。例えば脳卒中では東三河統一が近々なされ、豊橋、豊川、新城、田原、蒲郡の5市が統一した書式で情報を共有するシステムが構築されます。
これは、この五市のどこで脳卒中になっても、リハビリを他の市で受けて、その後診療所で定期的に診察していただくことができるわけです。そしてその状況 が、中核病院からでも、回復期病院からでもわかるシステムなのです。1人の患者に対して3施設の主治医がいるわけです。これがしっかり構築されれば安心で きると思いませんか?地域の皆様は早くこのことを理解して、地域医療連携に協力していただけることを願います。
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