【医療】生体機能に適合する義歯。なぜBPS義歯が従来法の義歯より優れているのか?(平成24年9月号掲載)
生体機能に適合する義歯。なぜBPS義歯が従来法の義歯より優れているのか?
先 月号(8月号)でご紹介したBPS義歯。発行後、義歯にお悩みの多くの読者様より、「詳しく知りたい!」という声をいただきました。こんなにも関心を寄せ ていただけるとは予想せず、驚きとともに、より詳しく説明せねばと考え、再び筆をとりました。今回は義歯を作る方法と材料の2つに分けて、説明したいと思 います。
■義歯の作り方
義歯を作るそれぞれの手順に違いがあります。
□型取りの違い
従来法(2次元)ではお口を開けて型取るのが一般的。型取りの材料が固まるまでお口を開けたまま動かさずに待ちます。(静的な型取り)
BPS法(3次元)では、精密なシリコンを使い型取りします。その際、患者さん自身で口を動かし、発話やつばを飲み込む運動など、日常想定されるお口の運動をします。(動的な型取り)
従来法のように、口を開けたまま型取ったもので義歯を製作すると、「口の中で動く入れ歯」になりやすいです。対して、BPS法で型取りされたものは、「精 密に口の中を型取りした入れ歯」となり、粘膜に密着して違和感が少なく、横揺れが抑えられたものになります。そのため痛みが少なく、安定した(落ちない・ 浮き上がらない)義歯になります。
BPS法は精密なシリコンを入れた状態で、お口を動かします。限界運動をして型取るため、その範囲内であれば落ちたり浮いたりせず、しっかりと安定した義歯を製作できるのが最大の利点です。
□噛み合わせの決め方(咬合採得)の違い
従来法で型取られた模型で噛み合わせを決める装置を作ると誤差が生じやすい上に噛み合わせの中心も取りづらく、修正もしづらいです。対してBPS法は、精 密に型取りされた状態のまま同時に噛み合わせも決めるので誤差がほとんどありません。さらに専用の装置を使って噛み合わせの高さや水平的な位置も決定する ため、正確な噛み合わせを再現しやすいです。また同時に、あごのリハビリが必要かどうかの診断もあわせて可能です。
□歯の並べ方の違い
従来法では情報が少なく、歯科技工士の経験や勘に頼る部分が多く、各技工士によって大きな差が出てしまいます。対して、BPS法では、システム化されてい るため、基準通りに並べることができます。また、平均値データから失われた歯の位置を分析でき、精密に型取られたシリコンから義歯が入ることのできるス ペースを確認できます。これにより最適な歯並びにすることができます。
■材料の違い
義歯は「歯の部分」と「歯肉(ピンク)の部分」の2つに分けられます。
□歯の部分
従来法の場合は、国で定められた範囲で色、形を決めるのに対し、BPS法では、患者さんに最適な歯の色、形をご自身で選ぶことができ、より長持ちするものを選べます。
□歯肉(ピンク)の部分
従来法の場合は、国で定められた樹脂材料を使用するのに対し、BPS法では、「イボカップシステム」を用います。このシステムは作成過程で生ずる変形が極 めて少なく、高圧・長時間で作ることにより高密度・高強度な物性が得られる優秀なシステムです。これによって、汚れやにおいがつきにくく掃除が簡単です。 また、非常に丈夫な材質のため割れにくい義歯になります。
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