【医療】まだまだ寒い今年の冬…ヒートショックにご用心!(平成25年春号掲載)
まだまだ寒い今年の冬…ヒートショックにご用心! 〜ヒートショックで亡くなる人は年間1万人以上
■ヒートショックとは?
ヒートショック現象とは、急激な温度変化により体が受ける影響のこと。
暖房の効いた部屋から寒い廊下やトイレ、浴室に移動するとき、寒さに体がブルブルっとふるえた経験は誰しもあると思います。
実は、これもヒートショックの一種です。高齢者や特定の疾病を抱えた人には、さらに深刻な症状を引き起こすきっかけになる場合があります。
ヒートショックで亡くなる人は平均して年間に12,000人以上、これは年間の交通事故死亡者約9,000人よりも多い人数です。
また、ヒートショックはお年寄りが家の中で亡くなる原因の1/4を占めるというデータもあります。
大事な家族や自分自身のために、ヒートショックに対する正しい知識を身につけましょう。
■ヒートショックを起こしやすい人とは…
ヒートショックを起こす原因は、室内での温度差です。暖かい居間と、暖房の効いていないトイレ・廊下との温度差はなんと10℃近くもあります。
その寒暖差の中を移動するわずかな間に、体は恒常性を保つため血圧が急激に上がり、脳卒中や心筋梗塞を起こす引き金になります。
よって高齢者やメタボリック症候群、不整脈などの持病を持つ人は発症しやすいといえます。
特に、高齢者は年齢相応に血管がもろくなっているので、血圧の上昇・下降の影響が大きく脳内出血を起こしやすくなります。
■トイレ・お風呂に特にご用心
日本では一般的に水回り(浴室・トイレ・洗面・台所など)は家屋の北側に造られています。北側は日光が差さないので、日中も室温も上がらず、家の中で1番寒い場所です。
特に冬場になると、寒さのせいで夜間トイレに行く回数も増えがちです。
寝室をトイレに近い場所に変えたり、トイレの窓に厚めのカーテンをかけるのも効果的ですが、小型の暖房器を置いてトイレ内を暖めるのがおすすめです。その際ハロゲン式のヒーターはスイッチを入れれば放射熱ですぐ暖かくなります。
お風呂も入る前に浴室や脱衣所を暖めることが大切です。その際、シャワーを高い位置から流すと、蒸気によって早く室温を上げることができます。
脱衣する前にお風呂のふたをあけ、しばらくそのままにして待つのも良いでしょう。お湯の温度は低めの38〜40℃に設定します。
42℃以上の熱い湯は心臓に大きな負担をかけるので避けた方が良いでしょう。1番良いのは、誰かがお風呂から上がった直後に入ること。浴室内は暖まっているし、お湯もいい具合にこなれています。ぬるめのお湯でゆっくり暖まりましょう。
外国に比べ、日本では・家全体を暖房するのではなく、要所のみを居心地よく暖める傾向があるようです。
光熱費を抑えたいという心理もあるのでしょうが、〝水回りを北側に〟といった日本独特の家屋事情もあり、ヒートショックを起こす原因の一つになっているようです。
また、浴室暖房の普及率も低く、約1割に留まっています。
高齢者のヒートショックは重篤な症状につながる可能性が高いものです。
できることから生活に取り入れて、予防を心がけましょう。