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【医療】なかなか相談できない尿トラブル(平成25年春号掲載)

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なかなか相談できない尿トラブル 〜「過活動膀胱」

急にトイレに行きたくなったり、間に合わなかったりしたことはありませんか?歳のせいだと諦める前に、ちゃんと原因を見つければ改善も期待できます。
トイレが気になって外出がおっくうになっているあなた、春はもうそこまで来ています。今のうちに治療をうけておけば、すっきりした気分でお花見も楽しめますよ。

■過活動膀胱
昨年盛んにTVなどで紹介されていた過活動膀胱とは、頻尿や尿失禁の分野における新しい診断名です。
主に自覚症状に基づいて診断されますが、尿意切迫感(排尿したくて我慢がきかない状態)を自覚する場合、過活動膀胱の可能性があります。
70歳以上では3割以上の方がこの病気にかかっていると考えられています。 しかし、治療を受けている人はその1/10にも至りません。
1日8回以上の排尿、夜間でも尿意で起きて睡眠不足になったり、トイレに行く途中で漏らしてしまうということがあれば、この病気を疑ってみましょう。
原因としては、排尿筋(注1)が過剰に活動すること、つまりおしっこをする時使う筋肉が必要以上に活発に動いてしまうことが挙げられ、神経因性と非神経因性に大別されます。
神経因性とは、神経に障害がある時にみられ、神経因性膀胱(注2)の一種ともいえます。
非神経因性は、前立腺肥大症や加齢変化、骨盤底筋障害などで生じます。
しかし、病因が特定できない場合も多いのです。

■まずは内科〜泌尿器科へ
恥ずかしい気持はわかりますが、ここは一つ勇気を振り絞って受診しましょう。
泌尿器科に心当たりがない時は、内科のかかりつけ医に相談し、診察を受けるか、泌尿器科を紹介してもらうと良いでしょう。
症状に関するチェックシートに記入し、問診をうけます。問診の他にも、腹部のエコー検査や血液検査、尿検査を行います。(医師の判断でもう少し詳しい検査が行われることもあります。)

■治療は薬と行動療法が主体
□薬
処方される薬は膀胱の収縮を抑える抗コリン薬などです。他の種類の薬が処方されることもありますが、基本的には今ある症状を軽減させる対処的なお薬です。

□行動療法
「生活指導」「膀胱訓練」「排泄介助」「理学療法」が含まれます。
生活習慣を改善したり、機能の弱まった膀胱や骨盤底筋(注3)を鍛えたりすることによって、尿トラブルの症状を軽減することが期待されます。
①生活指導
尿失禁に関係すると考えられる要因として、肥満、過度の運動、喫煙、食事、飲水、便秘、姿勢などが挙げられますので、それらについて適切に生活指導を行います。
②膀胱訓練
膀胱訓練は、少しずつ排尿間隔を延長することによって、膀胱容積を増加させる訓練法です。
③排泄介助
高齢者に対する排泄介助法としては、時間排尿誘導とパターン排尿誘導があります。
排尿日誌により、患者の排尿間隔や 1日の排尿パターンを把握したうえで、尿失禁が起こる前に、一定の時間、あるいは排尿パターンに合わせて、トイレ誘導を行うものです。
④理学療法
理学療法には、骨盤底筋訓練、バイオフィードバック療法が含まれます。理学療法士の指導の下行います。

尿トラブルの原因は多岐に渡ります。男性なら前立腺肥大症などの非神経因性が原因の場合もありますし、女性なら加齢や出産によって膀胱や子宮を支える筋肉の衰えで起こる「腹圧性尿失禁」なども考えられます。
また、頻尿、尿漏れの影に隠れて、別の病気が潜んでいる場合(注4)もあります。「こんなことならもっと早く…」とならないために、早めに泌尿器科にかかることをおすすめします。
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注1)排尿筋
膀胱壁にある筋肉のことで、「膀胱排尿筋」とも。この筋肉は平滑筋のため、自分の意思で動かすができません。
注2)神経因性膀胱
神経因性膀胱の症状は、頻尿や尿失禁、尿が出にくい、膀胱の中に尿はあるが、うまく出せないなど。脳卒中や脊髄損傷、脳梗塞など病気やケガが原因で起こるものです。原因となる疾患の治療を行うことで改善が見こめますが、投薬治療を行うところもあるようです。

注3)骨盤底筋
骨盤底筋とは、骨盤底を構成する深会陰横筋、尿道括約筋、肛門挙筋、尾骨筋の4つの筋肉の総称。これらの筋肉は、加齢によって緩みやすくなります。また、骨盤や内蔵を支える役目があるので、これらの筋肉が弱まると骨盤臓器脱を起こすリスクが高まります。
注4)別の病気
男性の場合、前立腺がんや膀胱がんが隠れている可能性があります。

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