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【医療】大腸がんのPET診断(平成25年春号掲載)

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kouseikaikiji大腸がんのPET診断

■大腸がんの統計
大腸がんは以前はそれほど多いがんではありませんでした。しかし食生活の変化により急激に増加したがんの一つです。現在では男女ともに2番目に多いがんとなっています(表1)。
しかも50歳代から急激に増加し始め高齢になるほど罹患率・死亡率ともに増加します(表2)。
当センターのPET健診においても大腸がんが最も多く見つかっています(表3)。

■大腸がん検査
大腸がん健診で最も一般的な方法は、便潜血検査です。大腸にがんができるとがんの部分から出血することもあり、便に血が混じっていないか調べる検査です。
便潜血による大腸がんの発見は、早期がんで約50%、進行がんで80%程度と言われています。あまり高い発見率ではないのは、大腸がんが全て出血を伴うと は限らないことと、進行がんになって初めて出血するようになるためです。しかも便潜血が陽性であっても大腸がんである確立は低いです。それは便に血液が混 じる原因が痔、大腸憩室、良性のポリープなどもあり、これらによっても便潜血が陽性となるからです。便潜血が陽性という結果で、大腸がんの方は2%前後で す。
このように便潜血による大腸がんの発見は難しいように感じますが、多人数を安い費用で検査をすることの意味は大きいです。
精度の高い大腸がん検査としては、注腸検査や大腸内視鏡があります。特に大腸内視鏡検査は直接腸内を確認でき、ポリープやがんがあった場合には、切除した り、細胞を採取して調べることができます。ただし両者とも前処置が必要で、個人差はありますが苦痛を伴うことが多いです。また検査をする術者による、検査 精度の差もあります。

■PETによる大腸がん検査
PET検査は身体全体のがんを見つける検査です。大腸がんだけを見つける検査ではありません。しかし当院のPET健診で最も多く見つかるがんは大腸がんで す(表3)。便潜血検査ではがんから出血していないと大腸がんは見つかりませんが、PET検査では出血の有無ではなく、がん細胞の有無で見つけることがで きます。図1はPET健診で指摘された大腸がんです。この方は便潜血は陰性、腫瘍マーカーも高くありませんでした。この大腸がんは早期であったので、大腸 内視鏡により切除して治療は終わりました。

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■光生会PET検査の特徴
光生会病院のPET検査は2度検査を行います。大腸は本人の意志とは関係なく、蠕動運動を行います。このため、PET検査で使われる薬剤が蠕動(ぜんど う)運動している大腸に集積します。この集積が大腸がんと大変紛らわしい画像となります。図2に示すように、健常な方でも蠕動運動によって大腸がんと間違 えそうな集積(図2右側矢印)を認めます。しかし2度目の撮影を行うことによって、集積が消えたり、または移動して集積が低くなれば、がんではないと否定 できます。図3のように大腸がんの方は2度撮影しても位置が変わらないばかりか、2度目の方が集積は高くなります。
光生会病院のPET検査はこのように必要とあれば2度の検査を行って診断精度を上げています。

■PETによる転移診断
がんと診断されて治療を始めるにあたって重要なことに、転移診断があります。図1や図3の方のように転移のない方は、内視鏡的な切除や、大腸の部分切除だけで治療は終了します。しかし転移してる場合は、転移の程度によって治療方針が変わってきます。
図4の方は市の検診で胸部撮影により異常影を指摘され、総合病院に紹介された方です。CT検査など行い肺がん疑いとして、当院にPET検査を受けに来られ ました。結果は図4に示す通りです。紹介元の病院では肺がんを予想していましたが、PET検査の結果は、原発は大腸(d:S状結腸)がんで、しかもリンパ 節転移(c)、肝転移(b)しており、最初に見つけた肺がんは、肺がんでなく大腸がんの肺転移(a)でした。この方は全く自覚症状もなく過ごしてきまし た。従来の検査では、身体全体のがんの状態を知ることは困難でしたが、PET検査を行うことにより体のどこにがんがあり、またどこに転移しているかも診断 できます。その結果、最良の治療計画もたてることができます。

■PETによるがん検査
PET検査のうち大腸がんであった例を述べてきました。大腸がんだけを見つけるのならば、便潜血検査だけでなく大腸内視鏡検査をお受けいただきたいと思い ます。ただし、私たちの身体にがんができるのは大腸だけでなく、他の部位にも発生します。しかも誰も自分の望むところにがんができるわけではありません。 それならば、PETで身体全体のがんの有無のチェックを行うのが良いと思います。
PET検査での大腸がんの発見は、大きさが1cm以下でもしっかり検出できますし、出血の有無も、腫瘍マーカーの数値も関係ありません。また不幸にもがん になってしまったら、がんの広がりの程度を知るためにも治療前にPET検査を受けていただきたいものです。その結果適切な治療計画を立てることができま す。
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