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【連載もの】介護制度について考える 第5回(平成24年11月号掲載)

50介護保険利用のパートナー、“ケアマネージャー”を選ぶ  愛知大学 地域政策学部 教授 西村正広氏

 

■面倒なケアマネ探し

 

両親に介護保険の認定が下りたので、次にケアマネージャーを探すことになりました。

 

先 月号で紹介したように、介護保険を使っていろいろな介護サービスを利用するとき、頼りになるのがケアマネージャーです。ケアマネージャーは介護に関する相 談・助言や介護保険の手続きを手助けし、介護サービスの利用計画(ケアプラン)を作ってくれる専門職です。介護保険の認定を受けると担当のケアマネー ジャーから無料で相談やケアプランづくりをしてもらえます。

 

ところが面倒なことに、担当してもらうケアマネージャーは利用 者・家族が自分たちで探すことになっています。ケアマネージャーの事業所(正式には「居宅介護支援事業所」と言います)は両親の住む区内に20数カ所もあ りますから困ってしまいます。区役所の介護保険係では「区役所が、特定の事業所をお勧めすることはできません」と言われます。ではどうやってケアマネー ジャーを探せば良いのでしょう。

 

 

 

■ケアマネ選びのポイント

 

私 は介護保険創設前からケアマネージャーの資格や業務について研究してきました。現職のケアマネージャーの皆さんと学習会などに取り組みながら、私なりの 「良いケアマネージャー」像を描き、提言しています。そんな私の目でケアマネージャーを選ぶポイントは以下のとおりです。

 

①事業所が信頼できるか。

 

ケ アマネージャーは社会福祉法人や医療法人、協同組合、NPO、民間会社などが経営する事業所に所属しています。その事業所が営利主義だったり経営的に不安 定だったり、専門性が低いなどの問題を抱えているとちゃんとした支援をしてもらえません。在宅福祉に実績のある社会福祉法人や団体が設置した事業所は比較 的安心して利用できます。

 

②話を聴いてもらえるか。

 

ケアマネージャーの資質として大切なのは「良く話を聴く」ことです。忙しそうにしてあまり話を聴いてもらえない人、こちらの話を遮って話す人、あるいはこちらの言いたいことが終わっていないのにあれこれと提案してくる人は要注意です。

 

③話が分かりやすいか。

 

難 しい言葉や言い回しを多用して、話していることが分かりにくいケアマネージャーはいけません。「立て板に水」のようにスラスラ話すけれど、言っていること が心に届いてこない人もだめです。言葉は巧みでなくても、聞き手が分かるまでかみ砕いて説明してくれる人が望ましいです。

 

④同じ目標か。

 

対応は丁寧でも、なんとなく冷淡な感じがしたり、「教えてやる」「助けてやる」というような、いわゆる“上から目線”の感じを受ける人はケアマネージャーに向きません。こっちが困っていることに一緒になって困ってくれる人が良いです。

 

 

 

■まずは相談を持ち込む

 

そ うは言っても、ケアマネージャー事業所を全部まわって右に挙げたようなポイントをチェックするのはたいへんです。まずは自分の近くにあるケアマネージャー の事業所を手始めに、とりあえず介護で困っている話を何軒かの事業所で聴いてもらいましょう。前もって事業所に電話するか直接訪ねて「介護保険を利用する ので相談に乗ってほしい」と言えば、相談の予約ができます。話を聴いてもらったからといって、その事業所にケアマネージャーの業務をお願いする必要はあり ません。気が進まなければ別の事業所に行ってみます。そして自分で1番波長が合うと思った事業所に頼めば良いのです。

 

さて、私はインターネットや人づてを頼りに区内のケアマネージャー事業所を可能なかぎり調べてみました。

 

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西村正広氏略歴:日本福祉大学大学院修了
社会保険中京病院
ソーシャルワーカーなどを経て現職
専門:社会保障

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